2022 Fiscal Year Research-status Report
日本のシュルレアリスム詩人によるフランス・シュルレアリスム詩の翻訳に関する研究
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22K13055
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
大川内 夏樹 九州共立大学, スポーツ学部, 講師 (10802514)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | シュルレアリスム / ダダ / 翻訳 / 瀧口修造 / 上田敏雄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1920年代後半から1930年代初頭にかけて、瀧口修造、上田敏雄、北園克衛、西脇順三郎、冨士原清一ら日本のシュルレアリスム詩人が行ったフランス・シュルレアリスム詩の翻訳の特性について明らかにし、その翻訳の経験が、翻訳者である日本のシュルレアリスム詩人の詩にどのように作用したのかを考察することを目的とするものである。 令和4年4月から現在までの段階においては、まず日本のシュルレアリスム詩人やその他の翻訳者によるフランス・シュルレアリスム詩の翻訳に関する資料の網羅的な調査を進めた(現段階までに調査のできていない雑誌などについては、今後も引き続き調査を行う予定である)。その上で、瀧口修造および上田敏雄によるフランス・シュルレアリスム詩の翻訳と瀧口ら自身の詩に関わる資料の調査および考察を中心に研究を進めた。その過程で、瀧口、上田の詩について考えるには、彼らのフランス・シュルレアリスム詩の翻訳だけでなく、シュルレアリスムの前史となったダダ、とりわけダダの創始者であり、後にシュルレアリスムの運動にも関わったトリスタン・ツァラの作品の翻訳にも目を向ける必要があることが明らかになった。そのため、瀧口、上田によるシュルレアリスムおよびダダの作品の翻訳を取り上げつつ、特に1920年代後半の瀧口、上田の詩についての考察を行った。 なお瀧口、上田についての研究の成果をまとめた論文等は、令和5年度中に学会誌に掲載される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【研究実績の概要】で示したように、日本のシュルレアリスム詩人の詩について考えるには、フランス・シュルレアリスムの詩の翻訳だけでなく、シュルレアリスムの前史であるダダの作品の翻訳も視野に入れる必要があることが判明した。そのため当初の予定を若干修正し、ダダの作品の翻訳に関する資料についての調査も行ったため、研究の進み具合がやや遅れることになった。そして、このことが大きな要因となり、令和4年度中に予定していた瀧口修造に関する研究成果の発表が、令和5年度にずれ込むことになった。 また、当初、令和4年度に2回予定していた国立国会図書館や日本近代文学館等での調査の回数を、新型コロナウィルス感染症の影響で1回に変更することになり、代わりに国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」や、日本近代文学館や神奈川近代文学館のの遠隔複写サービスを積極的に活用し、資料の調査・収集を進めた。しかし、実際に図書館や文学館に足を運ばなければ調査の難しい資料もあったため、それらの資料については、令和5年度、6年度に継続して調査を進める予定である。 その他の点に関しては、おおむね予定通りに進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、当初の予定に従って、瀧口修造や上田敏雄に加えて、令和5年度には北園克衛、令和6年度には西脇順三郎、冨士原清一によるフランス・シュルレアリスム詩の翻訳や、それとの関わりに注目しながら彼ら自身の詩作品についての考察を進める。 特に、令和4年度は、新型コロナウィルス感染症の影響で1回しか実施できなかった国立国会図書館や日本近代文学館での調査を、令和5年度、6年度においては、予定通り2回ずつ実施したいと考えている。 また、令和4年度に調査・考察を行った瀧口修造や上田敏雄の場合のように、シュルレアリスム以外のモダニズム詩などの翻訳も視野に入れる必要が生じた場合は、適宜、調査・考察の範囲を広げながら研究を進めていく予定である。
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