2022 Fiscal Year Research-status Report
Variation and historical transition of verb morphology in Ryukyuan languages
Project/Area Number |
22K13126
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 由華 神戸大学, 人文学研究科, 助教 (90744483)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 琉球諸語 / 動詞形態論 / 終止形の形式と機能 / 方言差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(i)南琉球におけるm語尾終止形とそれと相補的に現れる他の述語形の意味機能と分布 (ii)北琉球におけるri終止形とm終止形の意味機能と分布 (iii)諸方言における連用形終止用法の意味機能と分布 について、与那国島、沖縄本島、徳之島の各地において予備調査を計画していたが、コロナ禍の影響を受け、特に現地調査について制限の強い中での研究実施となった。そのような制限の中でできることとして、主として北琉球の津波方言(沖縄本島)、平田方言(奄美大島)について、通信などを組み合わせた調査を行い、それぞれの方言における文法記述を進めた。津波においては、動詞形態論および各種助詞に関する調査・分析を進め、助詞に関する発表を1件行ったほか、動詞形態論の論文の投稿準備を行っている。平田方言については、方言の概要を正確に把握するための語彙調査、動詞形態論を含む文法調査を進め、報告資料としての投稿を準備中である。また、池間西原方言(宮古島)の情報構造に関わる助詞に関して、学会発表および論文の発表を行った。そのほかの地域では主として先行研究・文献による研究を進め、予備調査票の作成・改善を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査地点としては初年度に少なくとも3地点を目指していたところ、コロナ禍の影響で十分な調査を行うことができず、2地点分に留まっている。本研究では特にm終止形、ri終止形、i終止形の各地の機能と形式の違いを明らかにすることを目標にしているが、m終止形、ri終止形については、平田方言で調査を進めることができたが、連用形終止用法をもつ徳之島での調査ができず、当該形式を考慮した調査票の改善を進めることができていないため、この評価とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度実施予定でできなかった徳之島での調査を夏までに早々に実施し、連用形終止用法を含めた考察ができる体制にしておく。それをもとに、夏以降に、各方言でバージョンアップした調査票による調査を行う。また、調査地点に関して、本年度の文献等による研究を通じて再考の余地があることが分かっているが、今現在も対象とする現象が観察可能かどうかを確認するための予備的調査も来年度中に行う。これらをもって、2年目である来年度中に地点と調査票を十全に整え、計画通り3年目には本調査が進められるようにする。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響で予定していた現地調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じている。これらの現地調査は、次年度以降に振り分けて実施していく。
|
Research Products
(3 results)