2022 Fiscal Year Research-status Report
近世後期江戸語から明治期東京語における丁寧語の体系変化に関する研究
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22K13130
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
山田 里奈 実践女子大学, 文学部, 講師 (30757331)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 待遇表現 / 丁寧語 / 丁重語 / 近世語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、「近世後期江戸語から明治期東京語における丁寧語の体系とその周辺の表現を明らかにする」という目的に対して、対象語句を決めた調査を行なうという計画のもと研究を進めた。その結果、①〈行く・来る〉の意味を表す謙譲語と「動詞連用形+ます」の関係(「近世後期江戸語における丁寧な言葉遣い─〈行く・来る〉を例にして─」2022年09月、『近代語研究』23)を示したり、②「聞き手の行為を表す動詞連用形+ます」が丁寧語の体系が整っていない時代にどのような使われ方をしていたのかを明らかにしたりすることができた(「近世後期江戸語から明治期東京語における「動詞連用形+ます」の使用」、2022年11月、『実践国文学』102)。また、③謙譲語の形式の使用についての考察も行なうことができた(「近世後期江戸語における謙譲語形式の使用―「お~もうす」、「~もうす」、「~いたす」に着目して―」2023年3月、『実践国文学』103)。 ①では、丁重語としての「まいる」と話し手の行為を表す「行きます・来ます」を比較することで、当期の丁寧な言葉遣いとはどのようなものであったかを考察した。「ます」を伴わない「まいる」が中流女性の丁寧な言葉遣いの一端を担っていたこと、「お+動詞連用形+だ」との関連性を示すことができた点で、対象時期の丁寧語の体系との関わりに繋がる研究結果を出すことができたと考えられる。②では、「聞き手の行為を表す動詞連用形+ます」は、「……することができる」という場合等に偏って使用されていることを明らかにした。現代日本語では、聞き手に丁寧に言う場合には、動詞に制限はないと思われるが、当期には偏りが見られたという点で、丁寧語の体系が整っていなかったからこその現象であることを示すことができたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、対象語句を決めて考察を進めるという計画であり、その通り進んでいる。ただし、用例収集がすべて完了しているわけではないため、用例収集やデータ整理のスピードは上げていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、2023年度の前期までは、対象語句を決めた用例収集と考察を引き続き行なっていく。用例収集がやや遅れているため、その遅れを取り戻していけるよう、時間配分を変更する必要がある。そして、2023年度の後期以降行なう予定である、場面を設定した上での丁寧語の調査へと繋げていくつもりである。
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Causes of Carryover |
明治期東京語の資料をテキストデータにする作業は、業者に委託する予定であった。しかし、2022年度は、近世後期江戸語に関する考察が中心であった。手元にあるデータと目視での資料とのつき合わせ作業のみで足りてしまった。そのため、差引額が大きくなってしまった。また、学会活動等は、ほぼすべてオンライン開催であったため、旅費として計上していた額を使用することがなかった。 2023年度は明治期東京語に関するデータ分析と考察が中心になってくるため、使用計画通りに適切に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)