2023 Fiscal Year Research-status Report
戦国期畿内近国の拠点的な城郭についての研究―関連史料と空間構造の分析を中心に―
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22K13209
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
新谷 和之 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (20825103)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 城郭 / 戦国時代 / 畿内 / 大名 / 守護 |
Outline of Annual Research Achievements |
畿内近国の拠点的な城郭に関する文献調査とフィールドワークを継続するとともに、地域性を踏まえた相互の比較検討を行った。昨年度は対象城郭のリストアップを行ったが、そのなかで一国レベルの拠点となっている山城に着目し、構造と機能の把握につとめた。 上述の検討を通じて、研究成果の一部を活字で公表することができた。新谷和之「戦国期における武家拠点の展開」(『日本史研究』739、2024年)は、武家の拠点が山上に移動する現象の意味を畿内近国を対象に検討したもので、本研究の中間的なまとめとなる論考である。そこでは、拠点山城の構築におおむね2つの画期があること、築城主体の階層により山城の機能や存続時期に違いがあることを示し、従来の守護所研究と城郭史研究の架橋を目指した。 新谷和之「戦国期の加賀・越前国境域における朝倉氏の軍事行動と築城ー神宮寺城を中心にー」(『民俗文化』35、2023年)は、国境の城館分布と史料にみる軍事情勢とを対照させることで、畝状空堀群を伴う山城が16世紀中頃に朝倉氏により築かれたことを論証した。畝状空堀群は、朝倉氏の本城である一乗谷城に多く見られ、その整備の時期を考える手掛かりとなる論考である。 『描かれた中世城郭』(吉川弘文館、2023年、共著)では、絵画資料から室町・戦国期の城郭の普請・作事の実態に迫った。山城の描写は少ないものの、塀の狭間や櫓などの構造物の様相は、拠点城郭内の施設を想定する参考となろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
畿内近国の拠点城郭に関するデータベースの補訂を行うとともに、近江・美濃・越前・若狭などでフィールドワークを実施し、縄張図を作成した。また、山上居住の事例として著名な安芸毛利氏・小早川氏の拠点についても検討し、畿内近国との比較を行うことができた。 畿内近国の拠点山城を概観し、その歴史的役割についてまとめ、公表することができた。また、越前では城館の分布論から拠点山城の位置を論じることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果のとりまとめに向けて、畿内近国の拠点城郭に関する基礎データの集成につとめる。現地踏査も継続し、必要に応じて縄張図の作成に取り組む。 あわせて、地域ごとのケーススタディも充実させる。摂津・河内・和泉では、城館の分布と政治史との突き合わせを行い、主要城館の比較検討を行う。美濃では、拠点山城の構造を分析し、技術的な特徴を明らかにする。越前では、戦国大名朝倉氏の築城技術について引き続き検討を行う。若狭では、代表的な山城の構造を縄張図から分析し、守護や国衆の権力構造との関わりを問う。
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Causes of Carryover |
出張旅費が予定よりも安く済んだため、次年度分の旅費に充当する。
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Research Products
(6 results)