2022 Fiscal Year Research-status Report
東アジア都城の形態と支配構造に関する比較研究―中国北朝・朝鮮半島・日本の都城から
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22K13211
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
古内 絵里子 福山大学, 人間文化学部, 講師 (00791899)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 都城 / 木簡 / 百済 / 高句麗 / 新羅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、都城形態と行政の両面から中国北朝および朝鮮半島都城と日本の都城の比較を行うことにより、東アジア都城が日本の都城に与えた影響を明らかにし、日本の都城形成の再構成を試みるものである。 当該年度は、コロナ渦のために中国と朝鮮半島の遺跡および現地の資料調査ができないため、まずは日本都城に関する研究を進め、その研究成果を論文にまとめた。現在、学術雑誌に投稿中である。 また、東京大学東洋文化研究所および国立国会図書館において、中国北朝・高句麗・百済・新羅の都城に関する先行研究・文献資料を収集するとともに『韓国古代文字資料研究』を活用し、出土文字資料のデータ収集・整理を行った。それと並行してオンライン公開されているデータベースを活用する形で韓国にある都城に関する金石文などの資料を収集した。これら収集した史料と『三国史記』、『三国遺事』、『翰苑』註引『高麗記』、『日本書紀』、『周書』、『北史』、『隋書』の文献史料から、高句麗・百済・新羅の都城に関連する史料を抽出・整理し、①6~7世紀の高句麗の王都の行政の実態を解明し、高句麗五部制について検討を行った。②百済の泗ヒ城の支配構造の実態を明らかにし、百済五部五巷制の考察を行った。③百済の六部とその管下の里の実態を考察し、里と坊の関係に着目して百済王京の行政システムを解明した。これらの考察結果を踏まえて、今年度は、中国と朝鮮半島での調査を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」に記載したように、covid-19の感染拡大の影響により、中国と朝鮮半島の遺跡および現地の資料調査ができなかった。そのために、先に日本の都城遺跡の調査と史料の収集、検討を行った。それと同時に、本年度の海外調査の準備のために、データベースを活用して韓国の都城に関する金石文の史料収集を行い、研究をすすめた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度からは、covid-19の感染も落ち着いてきたため、【現在までの進捗状況】で記載したように、韓国での遺跡・資料調査を行う予定である。泗ヒ城跡(忠清南道扶余郡)、新羅王京跡(慶尚北道慶州市)の踏査と国立扶余博物館で五部五巷制に関する考古資料を、国立慶州博物館で新羅王京の行政に関する考古資料の実見と釈文の照合を行い、日本の都城行政の成立への影響関係を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、新型コロナウイルスの感染状況が治まっておらず、予定していた中国および韓国の都城遺跡と資料調査を行うことができなかった。2023年度は、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたため、泗ヒ城跡(忠清南道扶余郡)、新羅王京跡(慶尚北道慶州市)の踏査と国立扶余博物館で五部五巷制に関する考古資料を、国立慶州博物館で新羅王京の行政に関する考古資料の実見と釈文の照合を行う。
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