2022 Fiscal Year Research-status Report
企業の政治活動に関する複合的規制とコンシューマー・シティズンシップの機能
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22K13335
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
松尾 隆佑 宮崎大学, キャリアマネジメント推進機構, 講師 (20873326)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 政治理論 / 資本主義 / 企業の政治活動 / コンシューマー・シティズンシップ / 政治的消費 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、規範的政治理論の観点から企業の政治活動に関する適切な規制のあり方を検討するものである。1年目となる2022年度は、主に企業の政治活動をめぐる先行研究の整理・分析と、企業の政治活動に関する規制の正当化根拠の明確化に努めた。また、具体的な規制として政治資金制度の検討に取り組んだ。 各国政府や国際機関とともにガバナンスの一端を担うようになった現代の企業は、単に社会的責任(CSR)を問われるだけにとどまらず、準国家的・公共的な役割を果たしうる統治主体の一種として、政治的CSRが問題にされるようになっている。本研究はこうした背景から生じているビジネス倫理学と政治理論の接近に注目し、先行研究の分析を通じて熟議的なコーポレート・ガバナンスの構想を示した。これは、多様なステークホルダーとの対話に基づいて企業権力の正統性を調達させようとするものである。 もちろん企業の政治活動はガバナンスに直接携わる形態だけに限られない。たとえば政治資金の提供やロビイングを通じて政治的影響力を行使しようとすることも、企業の非市場戦略として伝統的に重視されてきた。企業による政治活動の自由は必ずしも否定されないが、富の不平等を政治的影響力の格差へと反映させないためには、適切な規制や、経済的不平等そのものの縮小が必要になる。こうした認識を支える理念となるのが、ジョン・ロールズによって再提起された財産所有デモクラシーである。これは富と権力の集中を抑制して民主政治の腐敗を防ぐため資本を幅広く分散させる政治経済体制であり、市民が(格差ゆえに)他者によって支配されることを避けようとする共和主義とも合致する。本研究では共和主義的に再解釈された財産所有デモクラシーの理念とその具体策を包括的に提示した。また、具体策の一種である政治資金制度に関して、私的資金の調達を制限して公的資金の助成を行うバウチャー制の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
政治的CSR論や財産所有デモクラシー論、政治資金制度の検討を計画通りに進められた上に、その成果を順調に公刊することができた。また、2年目に予定していた政治的消費行動の検討作業についても一定程度取り組むことができた。以上から当初の計画よりも進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は計画通り政治的消費行動の検討作業を進め、学会・研究会での発表や査読誌への投稿を積極的に行ってフィードバックを得られるように努める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で予定より旅費の発生が少なかったため、次年度使用額が生じた。今後より活発な研究交流を図るため、学会・研究会に参加する際の旅費として使用したい。
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Research Products
(2 results)