2022 Fiscal Year Research-status Report
The relationship between economic conditions and portfolio risk
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22K13430
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒本 隆太 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (50880275)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不確実性 / 仮想通貨 / 相関 / リスクプレミアム / アウトプットギャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はポートフォリオのリスクマネジメントの中でも新しい分野である仮想通貨についての研究が、その分野の代表的な国際査読雑誌であるFinance Research Letters(SJR Q1)に掲載された。本研究では市場の不確実性が高まる状況では、ビットコインとイーサの相違点に注目が集まり、2つの代表的な仮想通貨の相関が弱まることを実証的に示した。仮想通貨の時価総額はビットコインの価値とほぼ同じという状況が続いていたが、近年、ビットコインとは異なるブロックチェーン技術を用いているイーサに注目が集まっている。本研究では市場の不確実が高まる状況では、株式の需要が低下し、債券の需要が高まることにより、株式と債券のリターンの相関が弱まることを発見した先行研究をヒントに、類似の現象がビットコインとイーサでも見られるかを検証した。検証の結果、不確実性の高まりはビットコインとイーサの相関を弱めていることが明らかになった。更に不確実性を株式市場よりも金市場で推定することにより、その傾向は顕著に見えた。これは仮想通貨と金の伝統的な資産に対するヘッジ資産という共通点があるためと推測される。 上記の研究に加え、本年度はアウトプットギャップとクロスセクションポートフォリオを価格づけする研究に取り組んだ。本研究では、アウトプットギャップが市場リスクプレミアムとモメンタムリスクのプレミアムの変化を生じさせていることを示した。更に2つのリスクプレミアムは平均的には正であるが、アウトプットギャップに対する感応度は反対であることを示した。研究成果は日本ファイナンス学会で学会発表を行い、ワーキングペーパーとして公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は不確実性の影響を仮想通貨市場という新しい分野において検証することができ、 今後はアウトプットギャップとクロスセクションポートフォリオの研究を国際査読誌に掲載することを目指す。またアウトプットギャップとクロスセクションポートフォリオの研究と関連して、リスクファクターの共変動に取り組んでいる研究を完成させる。
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Strategy for Future Research Activity |
アウトプットギャップとクロスセクションポートフォリオの研究を国際査読誌に掲載することを第一の目標とする。本年度、本研究を投稿したさいに、推定されたリスク価格の大きさについてのより詳細な議論が必要と指摘されたので、その部分の記述をより丁寧に記述することを目指す。またいくつかの頑健性のテストを提案されたので、それに取り組む予定である。現在、計画しているテストは、(1)テストポートフォリオとして業種ポートフォリオを利用すること、(2)鉱工業生産指数の発表のラグを考慮すること、(3)アウトプットギャップの推定方法を再帰的にすること、(4)見直しをする前のリリース時の鉱工業生産指数のデータを利用することである。 またそれと並行して、リスクファクターの共変動の研究にも取り組む。現在、実証の部分を完成したが、論文としての構成が複雑であると指摘を受けているので、よりわかりやすいものに改訂し、投稿することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で海外の発表などが減少したため。論文の投稿費、データベースの購入費用などに充てる予定である。
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Research Products
(3 results)