• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Research-status Report

The Science of Distraction: Televisual Technologies, Audience Research, and Media Theory in Japan c. 1970-2000

Research Project

Project/Area Number 22K13544
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

岡澤 康浩  京都大学, 人文科学研究所, 助教 (80914415)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords視聴者 / 注意 / テレビ / 労働科学 / 人間工学 / 知覚の歴史
Outline of Annual Research Achievements

一年目は科学論とメディア論の接点を探るための基礎的作業を行った。勤務先である京都大学人文科学研究所共同研究班「科学的知識の共同性を支えるメディア実践に関する学際的研究」の副班長を務め、定期的な研究会を開催すると同時に、映像文化論などの専門家を招いて、映像史と科学史の協力可能性について意見交換を行った。
さらに、メディア論と科学論をすすめる上で鍵となる著作としてダストン&ギャリソン『客観性』、ラトゥール&ウールガー『ラボラトリー・ライフ』の合同合評会を企画した。特にラトゥールのインスクリプション論が科学論とメディア論の交点として果たしうる可能性に注目し、9月の日本科学社会学会の書評セッションでは「ANTとメディア論的科学史、あるいは知ることの物質性について:『アクターネットワーク理論入門』への科学史の立場からのコメント 」を発表した。これをさらに発展させたものを、「書記技術のマテリアリズム:ブリュノ・ラトゥールのメディア論のために」として『現代思想』のラトゥール特集号に発表した。
こうした基礎的作業と並行する形で、テレビの歴史、科学の歴史、メディア論者たちのパフォーマンスとしての注意(attention)の歴史に注目した史料調査を進めた。日本におけるメディア論の登場は、テレビの前の視聴者が番組を真面目に見ていないかもしれないという注意散漫の可能性を見越した上で、注意散漫への介入としてしばしば組み立てられる。こうした介入的パフォーマンスを適切に理解するためには、そもそも介入されるべき対象としての注意がどのように理解されていたのかを理解する必要がある。一年目は、そうした産業社会における注意散漫な主体を扱う(不)注意論の拠点として、大原労働科学研究所に注目し、そこで行われていた労働科学的注意論の歴史や人間工学の歴史についての調査を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初予定していたテレビ雑誌を大規模にスキャンし分析を進めるという計画は、謝金を支払ってスキャンを行うことが困難であることが判明したため、計画を大きく変更することになった。その代わりとして、テレビを扱う学術雑誌に注目し分析を進めることにした。この作業を通じて、人文社会的メディア論とは別の形でのメディア論が工学者、心理学者、生理学者によって進められていたことを学んだのは大きな収穫であった。そのため、当初の予定から外れる形になったとはいえ、研究は順調に進展しているといえる。また、二年目に予定している国際ワークショップの準備についても、海外からのスピーカーや学際的な発表者に参加いただけることになり、順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

勤務先である京都大学人文科学研究所で、組織された共同研究班「歴史的メディア認識論:テレビ史におけるメディア論とテクノサイエンスの交錯」を中心に、テレビ研究をすすめる。メディア論者たちの実際の映像パフォーマンスを分析する下準備として、本年は科学技術系の文脈で議論されていた注意論についての史料調査を継続すると同時に、最終年度で取り上げる予定のメディア論者の選定を行う。また、6月には国際ワークショップを企画しているので、そこで海外や他分野の方との研究ネットワークを拡大する予定である。

Causes of Carryover

年度末に予定していた古書の購入が売り切れとなったため購入できず、少額が残った。次年度に物品費に充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Int'l Joint Research] ダラム大学(英国)

    • Country Name
      UNITED KINGDOM
    • Counterpart Institution
      ダラム大学
  • [Journal Article] 書記技術のマテリアリズム:ブリュノ・ラトゥールのメディア論のために2023

    • Author(s)
      岡澤康浩
    • Journal Title

      現代思想

      Volume: 51(3) Pages: 264-274

  • [Presentation] ANTとメディア論的科学史、あるいは知ることの物質性について:『アクターネットワーク理論入門』への科学史の立場からのコメント2022

    • Author(s)
      岡澤康浩
    • Organizer
      日本科学社会学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi