2022 Fiscal Year Research-status Report
チコリー由来機能性因子の構造特異的な吸収特性および生理活性機序の解明
Project/Area Number |
22K13613
|
Research Institution | Jumonji University |
Principal Investigator |
小林 亘 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 助手 (90895559)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | チコリー / メタボロミクス / 食素材 / 栄養生化学 / 機能性食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画のうち,当該研究年度では(1)チコリー含有成分の基礎化学分析および(2)チコリー抽出物の分画および機能性スクリーニングを実施した。 (1)チコリーを凍結乾燥,粉砕および均質化した後,ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)を用いて,TMS誘導体化法による代謝物プロファイリングを実施した。定量した81成分について主成分分析を行った結果,チコリーの部位間差を特徴づける成分として,葉部方向に遊離アミノ酸および遊離脂肪酸類が,根茎部および根皮部方向に糖類および有機酸類が見出された。次いで,加熱処理中の成分変動を解析した結果,葉部では4-60°Cの処理区において,味や生理機能に関わる遊離アミノ酸,有機酸および糖質が経時的に増加することが明らかとなった。 (2)チコリーのエタノール抽出物(葉部,根茎部および根皮部)について,液々分配を行い,極性の異なる分画物を得た。次いで,RAW264.7細胞を用いたLPS誘導炎症惹起に対するチコリー分画物の効果を検証したところ,根茎部および根皮部の中極性画分において,LPSによる炎症惹起を抑制することが明らかとなった。次いで,チコリーの熱水抽出物について,RAW264.7細胞を用いたマクロファージ活性化試験およびKHYG-1細胞を用いたIFN-γ産生量の解析を実施した。その結果,根茎部および根皮部の熱水抽出物において,マクロファージを活性化することが示唆された。しかしながら,IFN-γ産生量は低下したことから,NK細胞活性は抑制することが示唆された。 以上の結果から,チコリーは潜在的な健康機能性を有することが示唆された。また,今後の研究において,使用する部位や調理条件を検討することで,チコリーの栄養性,嗜好性および健康機能性を活かした調理加工法を提案でき,高付加価値化が可能であると示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では(3)機能性成分の単離・同定までの実施を予定していたが,(2)チコリー抽出物の分画および機能性スクリーニングの結果から(4)動物実験による健康機能性の検討および作用機序の解明を優先して実施した。しかしながら,動物実験において特筆する結果は得られなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度の研究成果を踏まえ,本年度では(2)チコリー抽出物の分画および機能性スクリーニングおよび(3)機能性成分の単離・同定を着実に推進していく予定である。また,機能性スクリーニングの結果から,(4)動物実験による健康機能性の検討および作用機序の解明にも取り組む予定である。
|
Causes of Carryover |
補助事業期間中の研究実施計画(3)機能性成分の単離・同定の実施を見送ったため差額の繰越金が生じている。次年度には,(4)動物実験による健康機能性の検討および作用機序の解明と合わせて実施,使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)