2022 Fiscal Year Research-status Report
大学教員を対象としたブレンド型授業デザインの支援ツールおよびFDプログラムの開発
Project/Area Number |
22K13764
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
阿部 真由美 早稲田大学, 大学総合研究センター, 助教 (80879875)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 教育工学 / 授業デザイン / ブレンディッドラーニング / FD / 高等教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ポストコロナに期待される大学授業の形のひとつとしてブレンド型授業に焦点を当て、効果的な授業デザインを支援するためのツールとFDプログラムの開発を目的としている。1年目の2022年度には、その第一段階としてブレンド型授業の今後の可能性を検討するために、文献調査、2020年度に実施した大学生対象のアンケートデータの追加分析、大学教員対象のインタビュー調査、反転授業の実践研究を行った。具体的な進捗状況は以下のとおりである。 まずは、ブレンド型授業に関する国内外の先行文献をもとに、今後のブレンド型授業の在り方について検討した。従来、ブレンド型授業は対面とオンラインの学習の組み合わせと定義されていたが、コロナ禍にオンライン同期型授業が急拡大した状況を受けてオンライン同期・非同期の区別の重要性を指摘しつつ、多様なブレンドの形を模索した。また、2020年度に実施した大学生対象のアンケートデータの追加分析では、授業形態に焦点を当てた分析を行い、多様な授業形態に対する学生の認識について調査した。本研究の成果は論文にまとめ、日本教育工学会論文誌に採択された。大学教員対象のインタビュー調査では、授業形態に対する教員の知識や認識を調査した。コロナ禍でのオンライン授業やその後の対面授業への揺り戻しの過程を経験した大学教員が、各授業形態に対して現在どのように認識しているか、今後どのように授業形態を選択するかを探索した。反転授業の実践研究では、ブレンド型授業の中でも学習効果の面で期待されている反転授業を春・秋学期をとおして実践し、履修学生へのインタビュー調査を各学期終了後に行った。 2022年度の以上の研究により、多様な授業形態の特徴が学生や教員の視点から明らかになるとともに、今後の大学授業の在り方やFDの展開に向けて示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の研究計画は、(1)国内の大学において今後目指すべきブレンド型授業の形を模索し、(2)その知見をもとに教員がブレンド型授業をデザインする際に必要となる知識とスキルの項目を作成し、チェックリストまたはルーブリックを開発することであった。 (1)に関しては、ブレンド型授業に関する文献調査、2020年度に実施したアンケートデータの授業形態に関する追加分析、大学教員対象のインタビュー調査、反転授業の実践研究の4つの研究を進めた。当初予定していた文献調査からさらに踏み込んだ研究を多角的に進めることができ、コロナ禍での経験を踏まえた最新の状況を深く調査できた点で、大きな成果が得られたと考えている。(2)に関しては、(1)で得られたデータや知見の分析や整理を進めている段階である。当該年度中には完了していないものの、(1)において当初の計画以上の研究を行ったことにより、(2)への適用においても、より現場に即した有用なツールの開発が可能になると考えている。2023年度は本研究を引き続き進めていきたい。 以上の進捗状況から、本研究課題については当初のスケジュールからペースは若干遅れてはいるものの、計画以上の取り組みを行っていることもあり、研究計画全体の進捗としてはおおむね順調に進んでいるものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は2022年度に行った研究を継続し、さらにブレンド型授業デザインを支援するためのツールの開発を進めていく。まずは、2022年度に実施した大学教員対象のインタビュー調査および反転授業の実践研究の成果を公表するため、学会発表と論文投稿を予定している。また、それと併行して、それらの研究で得た知見をもとに、ブレンド型授業デザインのためのFDで活用できるツールの開発を引き続き進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度末に採択論文の別刷代を支払った際、見込額と実際の支払額に差が生じたため残額が次年度繰り越しとなった。次年度には当該年度に行った研究の学会および論文での発表を予定しており、それらの用途に充当したい。
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Research Products
(4 results)