2023 Fiscal Year Research-status Report
双曲的曲線の配置空間や双曲的多重曲線の基本群の研究
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22K13892
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 晃一郎 京都大学, 数理解析研究所, 特定助教 (20850605)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 高次元遠アーベル幾何学 / 双曲的曲線 / 配置空間 / Grothendieck予想 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、星裕一郎氏、辻村昇太氏と共同で前年度後半より進めていた研究である、標数が正の体上の双曲的曲線の配置空間の遠アーベル幾何についての研究をさらに深め、論文として整備を行った(実際の公開・論文投稿は修正作業等の後、2024年度初頭に実施)。この研究では、有限体上有限生成な体の上の双曲的曲線の配置空間のtame基本群に関するGrothendieck予想を証明するものであり、また、その証明の過程で、 1、ある種の代数多様体の射から生じるtame基本群の適切な商の間の射からなる列の完全性 2、一般化ファイバー部分群と呼ばれる、双曲的曲線の配置空間のtame基本群の幾何的に定義される部分群の群論的復元 3、双曲的曲線の配置空間から生じる種々の円分物と呼ばれる対象の群論的同期化 についての結果を得た。標数が0の場合と異なり、標数が正の場合には双曲的曲線の配置空間の射影などの射、およびその幾何的ファイバーから生じる基本群の間の列の完全性の成立は不明であるが、適切な商を取れば完全性が得られ、さらに、この商が遠アーベル的考察を行うことができる程度に十分大きく、その商を利用して、一般化ファイバー部分群(これは商を取る前の基本群の部分群である)などの種々の対象の群論的復元を行うことが可能となった。本研究は、標数が正の体上の高次元多様体の間のGrothendieck予想の結果としておそらく初めてのものであり、高次元遠アーベル幾何学において非常に有意義な結果と考えられる。また、研究発表として、上記の結果についての講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標数が正の体上の双曲的曲線の配置空間についての結果は高次元遠アーベル幾何学の結果として顕著なもので、本研究の研究目的と照らし合わせても大変意義のある進展が得られたと考えている。一方、他の研究の整備などで遅れている部分がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022,3年度に得られた結果をさらに深めることを試み、また、応用面でも考察を行う。標数が正の場合にも、さらに標数が0の場合と類似の現象が得られないかなどの考察を続ける。また、当初の研究計画の方針の通り、Lie代数的側面などからの双曲的曲線の配置空間の考察も引き続き行う。
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Causes of Carryover |
2023年度は国内外への出張を行い、当初計画以上の額を使用したが、前年度に社会情勢の影響で出張を行わなかったため生じた"次年度使用額"が多額であったため、全額の使用とはならなかった。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、国内外への出張を多く行うことを計画している。
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