2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13894
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松井 紘樹 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (50943536)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 可換環 / スキーム / 三角圏 / 導来圏 / Frobenius押し出し関手 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は可換環や代数幾何学において現れる三角圏について,主に以下の研究を行った. (1) 三角圏に対してスペクトラムという環付き空間を定義し,その性質を調べた.とくに,局所的に単位対象で生成されるテンソル三角圏について,三角圏のスペクトラムとBalmerスペクトラムの環付き空間構造を比較し,テンソル三角圏が単位対象で生成される時は同型になることを示した.代数幾何学において現れる三角圏である完全導来圏について,そのスペクトラムを用いることでBandal-Orlovの著名な結果,ネーターな準アファインスキームおよび楕円曲線がその完全導来圏の三角圏構造から復元されることの別証明を与えた. (2) 三角圏の自己関手のエントロピーはDimitrov-Haiden-Katzarkov-Kontsevichによって導入され,代数幾何学や数理物理学における重要な研究対象となっている.素数標数を持つ可換ネーター局所環のコホモロジーが長さ有限な複体のなす完全導来圏の部分圏について,Frobenius引き戻し関手の圏論的エントロピーはMajidi Zolbanin-Miasnikovによって決定されている.この研究では素数標数を持つ可換ネーター局所環の有界導来圏のFrobenius押し出し関手の圏論的エントロピーを完全に決定し,さらにMajidi Zolbanin-Miasnikov-Szpiroによって導入された局所環の準同型の局所エントロピーとの関係を見出した.また,より一般の局所環の準同型についてその押し出し関手の圏論的エントロピーと局所エントロピーの関係を調べた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三角圏のスペクトラムに環付き空間構造を導入することでさまざまな既知の結果が復元されるなど,研究題目にある三角幾何学の構築へ向けて順調に研究が進行している.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も可換環論や代数幾何学に現れる三角圏のスペクトラムについて研究していく.特に,可換環やスキームに付随する特異圏についてそのスペクトラムの構造と特異点の性質の関係に焦点を当てて研究に取り組んでいく.
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響により国内外の研究集会の参加および研究打ち合わせの実施ができなかったため次年度使用額が生じた.2023年度は国内外の研究集会の参加および研究打ち合わせを予定より多く行う.
|
Research Products
(9 results)