2022 Fiscal Year Research-status Report
三次元ミリ波MIMOレーダにおけるドップラ特性を用いた自車運動・走行軌跡推定
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22K14266
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
自見 圭司 群馬大学, 次世代モビリティ社会実装研究センター, 助教 (40883484)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミリ波レーダ / MIMO / 自車運動 / 自己位置推定 / 離散フーリエ変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
R4年度では、車載ミリ波MIMOレーダ(以下、レーダ)を用いたスペクトル解析による自動車の水平方向の運動推定の検討を行なった。 R3年度において、レーダのIF信号にスペクトル解析を適用し、信号のピークが自車速度を表す一次元スペクトル(車速スペクトル)から自車両の移動速度を推定する手法を提案した。R4年度では本手法が旋回時に速度推定を誤る課題について取り組み、スペクトル解析から速度と旋回運動を推定する手法の検討した。 まず「旋回時に速度推定を誤る課題」では、旋回時に発生するヨー角が車速スペクトルに与える影響をシミュレーションと実験を比較して検証を行った。本検証から、レーダを車両正面に設置した時、ヨー角が発生すると、レーダの向きと車の進行方向に差(以下、チルト角)が生じ、従来手法で車速スペクトルを求めた場合にチルト角が原因でピークが乱れ、速度推定が誤ることが明らかとなった。 そこで、本研究では「レーダの向きと車両の進行方向の差をスペクトル解析で求め、水平面の進行方向を推定する手法」を提案している。本手法では、任意のチルト角に対応する車速スペクトルを求め、車速とチルト角の二次元スペクトルを求める。このスペクトルが持つ特定のピークは現在の車両の速度とチルト角を表し、正しいピークは時間ごとの追尾によって選択する。また、推定したチルト角から車両の角速度を求めることで、本手法から水平面での自車両の速度と旋回運動の推定が可能であることを検証している。 本研究はミリ波MIMOレーダが物体検出を行わずに車両の動きを推定できることを示したものである。提案手法から、ランドマークやレーダの対地角度、レーダより得られる点群数によらず、車両の動きが推定できる。本研究の成果から、ミリ波レーダのみでも自己位置推定を行う可能性を示し、全天候性が要求される環境での自律走行の安全性への貢献が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R4年度では、二次元ミリ波MIMOレーダを用いた自車両運動の推定法について検討を行い、国内で成果を発表した。R4年度の目標である「速度とヨー角によるドップラ信号の特徴を考慮した自車両運動推定手法の検討」で成果が得られたことから、R5年度の目標である「提案アルゴリズムの三次元ミリ波MIMOレーダへの拡張の検討」について取り組むことができるため、研究自体は概ね順調であると考えている。 対外発表については、主に国内に注力し、関連した内容で3件の発表を行なった。国際会議は、本研究の進捗と投稿スケジュールが合わなかったことや、物価高と円安の影響により予算を圧迫したことなどから、R4年度では見送ることとなった。論文発表は、R4年度に得られた成果をR5年度において整理し、投稿する予定である。以上より、対外発表などの目標は完全に達成できてはいないが、現在の進捗は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度では、「仰角方向を含めたドップラ信号の特徴解析と運動推定」の課題に取り組む。現在使用している二次元ミリ波MIMOレーダを三次元ミリ波MIMOレーダに置き換え、仰角方向を考慮した自車運動推定アルゴリズムを実験的に検討する。また、前年度より計算量が膨大となることが課題となりつつあり、適宜計算の効率化について検討を行う。本成果は国内外にて学会発表する予定であり、前年度の成果と合わせ、今後論文として投稿することを目標の一つとしている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額発生の主な理由は、学術論文掲載費用の未使用である。本年度において投稿予定であった学術論文について、次年度に投稿する予定である。したがって、本残高は次年度において使用する計画とする。
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