2022 Fiscal Year Research-status Report
CO2地中貯留における地化学反応を考慮した長期的なCO2流動特性に関する研究
Project/Area Number |
22K14325
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 博之 九州大学, 工学研究院, 助教 (40894001)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | CO2地中貯留 / 砂岩 / 玄武岩 / 弾性波トモグラフィ / 長期間の注入実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
CO2地中貯留における,貯留層の安全性や圧入性(経済性)を評価するうえで,長期間に渡るCO2の流動特性の把握が不可欠である。貯留層では,地層水-岩石―CO2が互いに地化学反応を起こし,空隙構造へ影響を与えていると予想されるが,詳しいメカニズムは明らかになっていない。そこで,本研究は空隙構造や鉱物組成の異なる複数の岩石に対し,連続フローを導入した長時間のCO2注入実験において,地化学反応が貯留層へ与えるCO2流動特性への影響を明らかにする。 2022年度は,本研究で使用するCO2注入実験システムの開発とCO2との反応性が低い国内産の砂岩へのCO2注入実験を実施した。具体的には,①弾性波を取得するための機器の整備や計測システムの開発,②貯留層の条件を再現した長時間のCO2注入実験,③弾性波トモグラフィによる試験体の弾性波速度分布の分析となっている。①に関しては,MATLABによる弾性波システムの開発を実施するとともに,試験体のセンサー配置を工夫することで,試験体のCO2注入方向における弾性波を64箇所計測できるような仕様とした。①で開発したシステム用いて,②においてCO2が超臨界状態となる温度・圧力を再現し,1,000時間を超える注入実験を実施した。また,実験中に取得した弾性波のデータから,弾性波トモグラフィ(地層科学研究所:Geo-Tomography)による弾性波速度分布も把握可能となった。これまで,長時間のCO2注入実験において,連続して弾性波を取得した例はないことから有用な成果であるといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では, CO2注入実験において,地化学反応が貯留層へ与えるCO2流動特性への影響を明らかにすることを目的としている。地化学反応は数時間で生じることはないため,長時間のCO2注入実験を厳密な温度・圧力条件下で実施する必要がある。また,実験中の弾性波データを取得することで,試験体内の水・CO2の状況の把握が可能となる。以上のことを踏まえ,2022年度は,弾性波計測システムの開発と1,000時間を超える連続的なCO2注入実験が実施でき,さらに,取得した弾性波データから弾性波トモグラフィが可能となったことから,本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では,2022年度に実施した砂岩に加え, CO2との反応性がよい玄武岩への注入を実施し,地化学反応が貯留層へ与える影響の把握を行う。実験システムの開発並びに玄武岩の産地選定と入手・整形は実施済みであり,現在実施しているCO2注入実験が終了し次第,サンプルを変更し実験を開始する予定である。また,1,000時間を優に超える実験におけるデータの分析に時間を要すことから,自動化を試みるなど,改善を行う予定である。なお,実験前後のサンプルのCT撮影やSEM,XRD撮影なども順次実施し,地化学反応が貯留層へ与える影響を明らかにする。
|
Research Products
(1 results)