2023 Fiscal Year Research-status Report
超分子鋳型を用いた量子ドットの螺旋状配列制御と円偏光発光の発現
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22K14556
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 光陽 京都大学, 化学研究所, 助教 (20802226)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 量子ドット / 自己集合 / 超分子化学 / 有機無機ハイブリッド / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、半導体ナノ結晶である量子ドット(CdSe、CdSe/ZnS、CdSe/CdS、CsPbBr3)、および量子ドットへの吸着基をもつ新規な有機化合物(コレステロール誘導体)を数種類合成し、特に、低極性溶媒中でのコレステロール誘導体の自己集合挙動について調査を行った。本年度は、コレステロール誘導体の1次元分子集合体(超分子ポリマー)を鋳型として用いて、様々な種類の量子ドットの配列制御を試みた。透過型電子顕微鏡の詳細な観察により、超分子ポリマーと球状の量子ドットを適切なタイミングで混合することで、超分子ポリマー鋳型に沿って量子ドットが高秩序に1次元配列することを明らかにした。発光スペクトル、および発光減衰曲線の解析を通して、量子ドット間でフェルスター型のエネルギー移動が生じていることも明らかにした。本成果に関する論文は、すでに掲載済みである。 さらに、キューブ型のCsPbBr3量子ドットの配列制御についても取り組んだ。その際、上述したコレステロール誘導体の分子構造における量子ドットへの吸着基を変えた新規化合物を合成し、その分子集合体を超分子鋳型として用いた。透過型電子顕微鏡観察により、超分子ポリマー鋳型に沿ってキューブ型のCsPbBr3量子ドットが1次元配列することを明らかにした。さらに、吸収スペクトルの温度依存性を調査し、理論モデルとの比較をすることで、配列メカニズムに関する知見を得た。本成果に関する論文は、現在投稿中である。 以上より、量子ドット配列手法の確立、および配列構造特有の物性を明らかにすることができたため、量子ドット材料科学に関する重要な知見が得られたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、キラル分子集合体を鋳型として用いて、量子ドットの螺旋状配列を試みる予定であったが、研究途中で「量子ドットの秩序な1次元配列」という興味深い現象を見出すことができ、複数の論文掲載に至っている。そのため、研究の進捗度は良好であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果は、量子ドットの螺旋状配列に関する知見は十分に得られていないが、量子ドット配列と配列構造特有の物性に関する重要な知見を得ることに成功した。次年度は本年度の成果を踏まえ、さらに量子ドット配列の化学を展開していく予定である。さらに、超分子鋳型のモノマー構造を変えることで、量子ドットの螺旋状配列が達成される条件も追求していく予定である。得られた配列構造について、各種分光法および高分解能顕微鏡を駆使して、分子集合体と量子ドットの吸着挙動をさらに追求するとともに、形成された量子ドット配列構造でのエネルギー移動・電子移動評価を重点的に遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
試薬・ガラス機具・消耗品などの物品購入の支出額が予想より少なかったため、次年度使用額が生じた。 そのため、次年度必要となる物品購入にあてる予定である。
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