2022 Fiscal Year Research-status Report
ニワトリの多様化と内在性レトロウイルスの関連性の解明
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22K14907
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
石原 慎矢 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (80879627)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヤケイ / 内在性レトロウイルス / 全ゲノムデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では商用鶏および日本在来鶏における内在性レトロウイルス(ERV)が遺伝子発現に及ぼす影響の解明を目的としている。本目的を達成するために商用鶏および日本在来鶏におけるゲノム上座位の同定をの課題の一つとして設定した。ERVの遺伝子構造として両端にLTR(Long terminal repeat)をもち、その間にgag, polおよびenv遺伝子を持っている。商用鶏および日本在来鶏と比較するための基礎情報として祖先種であるヤケイ属の全ゲノムデータを用いて参照ゲノムに存在しないERV由来のLTR座位の特定を行った。亜種を含むセキショクヤケイ、ハイイロヤケイ、セイロンヤケイおよびアオエリヤケイの4種合計で835のERV座位が確認できた。セキショクヤケイ、ハイイロヤケイ、セイロンヤケイおよびアオエリヤケイで検出されたERV由来のLTR遺伝子座の数はそれぞれ362、216、193、128座であることが判明した。またハイイロヤケイとセイロンヤケイの間で共通のERVが多く見られた。それぞれのゲノム座位におけるERVの有無に基づいて作成した系統樹は既報のヤケイの系統関係と一致し、同定されたERV-LTR遺伝子座から過去のヤケイ集団間の関係を推測できる可能性が示唆された。これらの成果について日本畜産学会第130回大会で発表し、さらにbioRxivにプレプリントとして投稿した。また商用鶏としてブロイラー、日本在来鶏として土佐地鶏および八木戸についても同様の解析を実施しており、現在結果の取りまとめを行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにブロイラー、土佐地鶏、八木戸の全ゲノムデータを既に取得しており順調に解析は進んでいる。さらに薩摩鶏および対馬鶏のサンプルも取得しておりこれらの在来鶏についても引き続き全ゲノムデータの取得が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
対象とする日本在来鶏品種を増やすとともに内在性レトロウイルスのゲノム中座位を特定できた品種について同様にRNAseqを実施し、ERVの有無が遺伝子発現に影響を及ぼす可能性を検証する。また必要に応じてERVの詳細な構造を解明するためにロングリードシークエンスの使用も検討する。
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Causes of Carryover |
当該年度にオープンアクセス誌(Scientific Reports)に論文を投稿し、現在審査中である。翌年度分として請求した助成金の大部分は本雑誌における投稿料として使用予定である。翌年度分として請求した助成金について論文投稿料として使用し余剰が生じた場合、次世代シークエンス解析に使用する。
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