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2022 Fiscal Year Research-status Report

日本におけるサクラ類の胴枯病の実態解明と被害予測モデルの構築

Research Project

Project/Area Number 22K14923
Research InstitutionForest Research and Management Organization

Principal Investigator

服部 友香子  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (80909862)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
KeywordsValsa属 / Cytospora属 / Botryosphaeria属 / Diaporthe属 / 内生菌
Outline of Annual Research Achievements

北海道、岩手、宮城、山形、茨城、群馬、東京、千葉および愛知県の国有林、森林公園、公園などを中心にサクラ類樹木の胴枯性病害の調査を行った結果、北海道札幌市および鹿部町にてサクラ胴枯病を発見した。一方で、過去に本病害の報告のあった東北地方及び北関東においてサクラ胴枯病は確認できず、健全あるいは枯死したサクラ枝内からもValsa属菌は分離されなかった。この結果からは、サクラ胴枯病についてよく研究が行われた1950年代以降から現在までの間に、何らかの理由によってサクラ胴枯病菌の分布が変化していることが予測された。得られた胴枯病サンプルからは新たに菌株を確立し、その分子系統学的位置を調査したところ、C. japonicaの株と単系統となった。Valsa japonicaは、1905年に北海道札幌市で新種記載された種であるが、現在国内ではV. ambiensのシノニムとして扱われている。本種は、Cytospora属の系統樹内で独立したクレードを形成することからも、独立種として記載し直す必要があることが明らかになった。また、現在Valsa属はCytospora属のシノニムとなっているため、V. japonicaは、Cytospora属へ転属する必要がある。また、9 地点で採取した様々なサクラ類樹木合計48 個体の健全あるいは枯死枝サンプルから内生菌を分離し、377菌株を得た。その内訳は、Diaporthe spp. 32%、Nigrospora spp. 13%、Botryosphaeria dothidea 8%、Pestalotiopsis spp.5%、Biscogniauxia spp.4%、Neopestalotiopsis spp.4%、Pezicula spp.4%、その他が29% であった。また、枯枝を採集した13 個体の枝サンプルからは87 菌株が分離され、その内27.5% がB. dothidea だった。以上の結果から、見た目健全なサクラ類樹木の枝には、胴枯性病害に関連するDiaporthe 属菌複数種やB. dothidea が内生していることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度はサクラ胴枯病の被害調査を行ったが、過去に病害の発生報告のあった地域の殆どでサクラ胴枯病およびCytospora属菌は見つからず、現在までの間に病原菌の分布が大きく変化している可能性が考えられた。Cytospora属菌による病害サンプルが当初の予想よりも集まらなかったため、次年度も引き続き野外調査を実施する必要があるものの、胴枯病菌の形態学的特徴および分子系統学的位置を明らかにできた。以上の事からおおむね順調に進展していると判断した.

Strategy for Future Research Activity

来年度も引き続き北海道、東北、北関東、中部地方においてサクラ胴枯病の被害調査を行う。現在までに分離できた胴枯病菌に加えて、新たに採集した病害サンプルから病原菌類の純粋株を確立し、形態的特徴および分子系統から種を同定することで、接種試験、温度特性の評価および統計解析の材料とする。接種試験は、様々な品種のサクラ類樹木に接種を行い、病原性を確認する予定である。

Causes of Carryover

エネルギー代の高騰の影響を受け、物品価格が当初の予定より大きく変動したため満額の使用ができなかった。2023年度の旅費として使用する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] ナナカマドの胴枯病について2023

    • Author(s)
      服部友香子, 升屋勇人, 鳥居正人, 相川拓也, 宮本敏澄
    • Organizer
      第134回日本森林学会大会
  • [Presentation] サクラ類樹木の健全枝から分離される胴枯病菌2022

    • Author(s)
      服部友香子, 升屋勇人, 鳥居正人, 長谷川絵里, 石原誠
    • Organizer
      樹木医学会大会第27回
  • [Presentation] 日本産Cytospora属菌株の交配型遺伝子を用いた種の検討2022

    • Author(s)
      服部友香子, 中島千晴, 升屋勇人
    • Organizer
      日本菌学会第66回大会
  • [Presentation] Taxonomical re-examination of the genus Cytospora in Japan2022

    • Author(s)
      Yukako Hattori, Chiharu Nakashima, Hayato Masuya
    • Organizer
      Asian Mycological Congress 2021
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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