2022 Fiscal Year Research-status Report
リバースジャイレースによるゲノム構造制御と極限環境への適応
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22K15083
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹俣 直道 京都大学, 工学研究科, 助教 (40883830)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DNA超らせん / リバースジャイレース / トポイソメラーゼ / アーキア / 超好熱菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
超好熱菌に特異的に存在するリバースジャイレース(RG)は、単独でDNAに正の超らせんを導入できる唯一のトポイソメラーセである。RGは超好熱菌の高温適応に重要な因子だと考えられているが、この適応機構の詳細は長年謎に包まれている。本研究は、RGによる超らせん制御がより高次のゲノム構造や一本鎖DNA構造にどう影響するか、そしてそれが超好熱菌の高温適応にどう関わるかをDNAシーケンシング技術によって解明する。今年度の進行状況は以下のとおりである。
Thermococcus kodakarensisの野生株およびRG破壊株を野生株の至適生育温度である85度で培養し、3C-seqにより各株の染色体構造を解析した。RG破壊株では近距離(<100 kb)相互作用の減少が観察されたが、全体としては大きな染色体構造変化は観察されなかった。続いて、RG破壊株が生育阻害を示す95度で野生株およびRG破壊株を培養し、3C-seqにより各株の染色体構造を解析した。すると、野生株では長距離(>100 kb)相互作用の増加や特定の遺伝子ペア間の相互作用増加など、様々な染色体構造変化が一過的に起こることがわかった。また、このような構造変化はRG破壊株においてより顕著に観察された。以上の結果は、RGが高温ストレスによって引き起こされる染色体高次構造変化の抑制に関わることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3C-seqの実施により、RGが高温環境下でのゲノム高次構造制御に非常に重要であることを示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
高温ストレス存在下においてゲノム高次構造が一過的に変化するメカニズムをRNA-seqなどによって探るとともに、このストレス応答とRGによるDNAトポロジー制御との関連を明らかにする。また、RGがゲノム構造に与える影響を他の観点から調べるため、SS-seqおよびBP-seqを実施する。
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Causes of Carryover |
3C-seq実験の結果が予想外なものになり、その検証を行った結果他の実験計画にやや遅れが生じたため次年度使用額が生じた。遅れが生じている分の実験は来年度行う予定である。
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