2022 Fiscal Year Research-status Report
外力依存的なコラーゲン線維の配列変化を介した骨の形態形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K15154
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
坂下 美咲 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 助教 (70907394)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 骨形態形成 / メカニカルストレス / 魚類椎骨 / コラーゲン / 力操作 / 磁力 / 骨芽細胞 / SEM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨の形態形成メカニズムを骨に加わる力に着目して解明することを目的としている。仮説として、骨をつくる骨芽細胞の移動方向と分布の決定に関わるとされるコラーゲン線維の配向と配置が力に依存して変化し、骨の形態が変化していくと考えている。研究計画では、先行研究で形態と力の関連が示唆されている魚類の椎骨を対象として、魚の椎骨に加わる力を操作して形態変化を起こすことにより、コラーゲン線維の配向・配置と骨芽細胞の分布の変化を確かめる実験を予定していた。 当該年度では、ゼブラフィッシュの脊椎周辺に鉄粉を移植し、個体の外から磁石を近づけることで、体内の鉄粉を引っ張り、脊椎に力を加える系を構築した。これにより、椎骨の形態を変化させることに成功した。本実験系でみられた形態変化は、申請者らが過去に構築した、力に依存して魚類椎骨の形態を生成する数理モデルで同様の計算結果が得られている。このため、数理モデルで力の条件を揃えて計算することで、本実験で加えた力と椎骨の形態変化の関連を説明できると予想される。 さらに、遺伝子組み換え、免疫染色、走査型電子顕微鏡を用いてコラーゲン線維の配向・配置と骨芽細胞の分布の解析が可能になった。これらの実験系を組み合わせ、力の操作によるコラーゲン線維の変化とそれに伴う骨芽細胞の分布の変化を調べることで、今後はコラーゲン線維を介した骨芽細胞の分布と力の関連を説明し、椎骨の形態が変化する仕組みの理解を進められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の計画で最も進捗の予測が難しかった椎骨に力を加える実験で、概ね規則性のある形態変化を観察できたことにより、骨形態形成と力の関係を説明できる可能性が著しく高まった。3年の計画期間のうち1年で実験系が構築できたため、形態変化に関わる骨芽細胞の動態やコラーゲン線維の配向・配置の変化を詳細に解析するために十分な期間を確保できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本計画では、実験で骨の形態変化、骨芽細胞の分布、コラーゲン線維の配向と配置を解析したのち、それらの解析結果を数理モデルへ統合して椎骨の形態形成メカニズムの説明を予定している。このため今後は、脊椎に加わる力を操作する実験で椎骨の解析を進め、申請者らが構築した、力に基づき椎骨の形態を再現する数理モデルと比較し、数理モデルの改良を進める。また、魚類椎骨の骨芽細胞がコラーゲン線維の配向や配置に応じて移動を変化させるか確かめるのに適した実験として、椎骨の骨芽細胞を培養する系の構築を新たに試みている。培養下でコラーゲン線維の配列に応じた骨芽細胞の移動の変化を観察できれば、脊椎に力を加える実験の結果と併せて骨芽細胞の動態を説明していきたい。
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Causes of Carryover |
高速計算機の購入を予定していたが、既に別で購入していた計算機で代替可能となったため、購入しなかった。加えて、参加した学会が関東開催で所属大学から近く、交通費と宿泊費が大幅に減った。これにより発生した使用額は、椎骨から骨芽細胞を培養し、骨芽細胞の分布とコラーゲン線維の配向および配置の関連を調べる系の構築に充てる。
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Research Products
(2 results)