2022 Fiscal Year Research-status Report
慢性骨髄性白血病再発防止を目指した新規治療法の開発
Project/Area Number |
22K15340
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
八木 健太 徳島大学, 病院, 特任助教 (10869085)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 分子標的治療薬 / ALDH |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄性白血病(CML)は分子標的治療薬Imatinibの登場により治療成績が劇的に向上した。しかし、体内から白血病細胞が消失した患者においても休薬により60%の患者で白血病細胞に分化するCML幹細胞が増殖し再発をきたす。CML幹細胞はCML完治の最大の障害であり、完治には幹細胞の根絶が必要不可欠であるが、有効な治療法は確立しておらず、現状では一生涯の薬物治療を余儀なくされている。とくに、AYA世代など若年患者においては投与期間が非常に長期に及ぶ患者も多く存在している。長期投与による様々な副作用発症のリスクのみならず、経済的な観点からも根治薬の開発が切望されている。 本研究の目的は、ALDHがCML幹細胞における細胞生存に必要な因子であり、ALDH阻害剤がCML幹細胞の根絶に有用であることを明らかにすることである。 研究代表者が注目している作用点であるALDHは様々な併用薬により発現が変動するが、薬剤以外にも食生活や生活習慣などALDHを変動させる因子が存在する可能性がある。 研究代表者は医療ビッグデータを用いて、CMLの治療効果に影響を及ぼす生活習慣として飲酒歴を見出した(投稿中)。そこで、ALDHの発現に影響を与える生活習慣や併用薬を抽出し、それらが治療効果に与える影響についても網羅的な探索を進めている。 ALDHは、Bcr-Abl阻害薬に対する耐性を獲得した細胞に対してもALDH阻害は有効性を示す可能性がある。そこで、Bcr-Abl阻害剤に耐性のあるCML細胞株を樹立し、薬物耐性を獲得したCMLに対する効果についても検討を進めている。また昨年、新規機序のアロステリックなBcr-Abl阻害剤であるAsciminibが上市した。Asciminibは従来のBcr-Abl阻害剤と作用機序が異なる事から、従来のBcr-Abl阻害剤やALDHとの関連性についても併せて検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではリアルワールドデータを用いた解析と基礎研究による検証を用いた多面的なアプローチにより、ドラッグリポジショニングに向けた有用な治療を探索している。 リアルワールドデータの解析についてはBcr-Abl阻害剤の治療とALDHを誘導する生活習慣である飲酒習慣との関連について明らかとし、その解析結果を論文投稿中であり、概ね順調に進捗していると考える。細胞実験では薬剤耐性細胞の作成や、標的分子の発現に応じた細胞の分取も概ね完了しており、作成した薬剤耐性細胞については、その耐性の原因についても概ね探索を完了した。また昨年、新規Bcr-Abl阻害剤であるAsciminibについても、従来のBcr-Abl阻害剤やALDHとの関連性についても併せて検討を進めている。それらの研究は順調に進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度には、RNAseqにより網羅的な遺伝子発現を調査した。今後はそこで得られた遺伝子発現のデータ解析を進め、Bcr-Abl阻害剤およびALDHに関連する遺伝子の解析を進める予定である。また、CML幹細胞および薬剤耐性細胞に対する有効性についても引き続き検討を進めていく予定である。また、それらの詳細なメカニズムやサブタイプ解析についても更なる検討を進めていく。 昨年度までに実施した候補薬剤の作用点に影響を与える薬剤以外の因子についても網羅的な解析を進め、更なる因子の関与を明らかとする予定である。
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Causes of Carryover |
一部年度末に発注された消耗品等に関して処理が4月以降にずれ込み支払いが完了していない。これらは4月以降に支払いが完了する予定であるため、一部の消耗品の費用が次年度使用額として計上されている。 また、新型コロナウイルス流行による出張制限により旅費の一部は、翌年分として請求した研究費とあわせて、出張や学会出張のための費用として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Characterization of Immune Checkpoint Inhibitor-Induced Myasthenia Gravis Using the United States Food and Drug Administration Adverse Event Reporting System.2023
Author(s)
Takahiro Niimura, Yoshito Zamami, Koji Miyata, Takahisa Mikami, Mizuho Asada, Keijo Fukushima, Masaki Yoshino, Satoru Mitsuboshi, Naoto Okada, Hirofumi Hamano, Takumi Sakurada, Rie Matsuoka-Ando, Fuka Aizawa, Kenta Yagi, Mitsuhiro Goda, Masayuki Chuma, ・・・Yoshihiro Yamanishi, Keisuke Ishizawa.
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Journal Title
The Journal of Clinical Pharmacology
Volume: 63
Pages: 473-479
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Differential effects of proton pump inhibitors and vonoprazan on vascular endothelial growth factor expression in cancer cells.2023
Author(s)
Rie Ando-Matsuoka, Kenta Yagi, Mayu Takaoka, Yuko Sakajiri, Tomokazu Shibata, Ryusuke Sawada, Akinori Maruo, Koji Miyata, Fuka Aizawa, Hirofumi Hamano, Takahiro Niimura, Yuki Izawa-Ishizawa, Mitsuhiro Goda, Satoshi Sakaguchi, Yoshito Zamami, Yoshihiro Yamanishi, Keisuke Ishizawa.
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Journal Title
Drug Development Research
Volume: 84
Pages: 75-83
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Investigation of drugs for the prevention of doxorubicin-induced cardiac events using big data analysis.2022
Author(s)
Shiori Nishiuchi, Kenta Yagi, Hiroumi Saito, Yoshito Zamami, Takahiro Niimura, Koji Miyata, Yoshika Sakamoto, Kimiko Fukunaga, Shunsuke Ishida, Hirofumi Hamano, Fuka Aizawa, Mitsuhiro Goda, Masayuki Chuma, Yuki Izawa-Ishizawa, Hideki Nawa, Hiroaki Yanagawa, Yasunari Kanda, Keisuke Ishizawa.
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Journal Title
European Journal of Pharmacology
Volume: 928
Pages: 175083
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Non-recovery of vancomycin-associated nephrotoxicity is related to worsening survival outcomes;combined retrospective analyses of two real-world databases.2022
Author(s)
Masayuki Chuma, Hirofumi Hamano, Takashi Bando, Masateru Kondo, Naoto Okada, Yuki Izumi, Shunsuke Ishida, Toshihiko Yoshioka, Mizuho Asada, Takahiro Niimura, Yoshito Zamami, Kenshi Takechi, Mitsuhiro Goda, Koji Miyata, Kenta Yagi,・・・Yoshikazu Tasaki, Keisuke Ishizawa.
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Journal Title
Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology
Volume: 131
Pages: 525-535
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 慢性骨髄性白血病に対するBCR-ABL阻害剤とALDH阻害剤併用による抗腫瘍効果増強の検討2022
Author(s)
國木 悠理香, 八木 健太, 高岡 麻佑, 岡本 尚大, 濱野 裕章, 合田 光寛, 新村 貴博, 相澤 風花, 石澤 有紀, 座間味 義人, 石澤 啓介
Organizer
医療薬学フォーラム2022/第30回 クリニカルファーマシーシンポジウム
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[Presentation] 慢性骨髄性白血病に対する既存承認薬とALDH阻害剤併用の有効性2022
Author(s)
國木 悠理香, 八木 健太, 髙岡 麻佑, 岡本 尚大, 濱野 裕章, 相澤 風花, 新村 貴博, 合田 光寛, 石澤 有紀, 座間味 義人, 石澤 啓介
Organizer
次世代を担う若手のための創薬・医療薬理シンポジウム2022
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[Presentation] 慢性骨髄性白血病患者における Bcr-Abl 阻害剤治療期間とアルコール摂取の関連2022
Author(s)
山川 裕介, 八木 健太, 吉岡 俊彦, 佐藤 真希, 丸尾 陽成, 宮田 晃志, 相澤 風花, 國木 悠理香, 新村 貴博, 坂口 暁, 石澤 有紀, 合田 光寛, 座間味 義人, 石澤 啓介
Organizer
第32回日本医療薬学会年会
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[Presentation] 慢性骨髄性白血病に対するALDH阻害剤の有効性の検討2022
Author(s)
國木 悠理香, 八木 健太, 高岡 麻佑, 岡本 尚大, 濱野 裕章, 相澤 風花, 新村 貴博, 石澤 有紀, 合田 光寛, 座間味 義人, 石澤 啓介
Organizer
第61回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会
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[Presentation] 臨床薬理の視点で実践する創薬研究:抗がん剤有害事象をターゲットとしたトランスレーショナルリサーチ2022
Author(s)
相澤 風花, 岡林 亜美, 森山 大嗣, 薗田 悠平, 高橋 志門, 新村 貴博, 合田 光寛, 座間味 義人, 吉岡 俊彦, 八木 健太, 石澤 有紀, 石澤 啓介
Organizer
第32回日本医療薬学会年会
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[Presentation] 薬物療法の最適化を目指すリアルワールドデータ駆動型臨床薬理学研究2022
Author(s)
合田 光寛, 神田 将哉, 吉岡 俊彦, 新村 貴博, 櫻田 巧, 小川 敦, 相澤 風花, 八木 健太, 石澤 有紀, 座間味 義人, 石澤 啓介
Organizer
第32回日本医療薬学会年会
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