2023 Fiscal Year Research-status Report
Double expressor lymphomaの分子基盤の解析
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22K15427
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
高柳 奈津子 (小野澤奈津子) 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30791800)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | DLBCL / Double expressor / MYC / BCL2 / TCF4 / FISH |
Outline of Annual Research Achievements |
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) は,腫瘍細胞の発生母地 (COO) から胚中心B細胞 (GCB) 型と活性化B細胞 (ABC) 型に分類されている.一方,MYCとBCL2のタンパク質共発現を示すdouble expressor lymphoma (DEL) の概念も提唱され,DELの多くがABC型に属し予後不良群と認識されているが,DELの分子病理学的基盤については未だ不明な点が多い.18q21の増幅はABC型DLBCLで最も頻度の高いゲノム異常であると報告されており,その遺伝子座にはBCL2が位置し,さらにMYCの遺伝子発現を調節しうるTCF4も含まれている.18q21の増幅によってBCL2とTCF4の発現が共に亢進し,DELの分子基盤になっている可能性がある. 本研究では,免疫組織化学 (IHC) やFluorescence in situ hybridization (FISH) を用いて,MYC, BCL2, TCF4の発現の関係を遺伝子増幅の観点から解析している.当院のDLBCL症例から作製したTMA約300例に対し,BCL2, TCF4を含む免疫組織化学及びFISHを行った.BCL2-IHC陽性群のうち,GCB typeではBCL2 rearrangementを有する群が,non-GCB typeではBCL2 amplificationが主体をなしており,両者は概ね相互排他的に認められた.TCF4-IHCでは,陽性群と陰性群の二峰性パターンを示し,二峰性パターンはnon-GCB typeで顕著であった.TCF4-IHCとTCF4 FISHで評価した遺伝子増幅との間に相関を認めた.現在,次世代シーケンサーを用いてTCF4を含む網羅的遺伝子解析を施行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
BCL2, TCF4のIHC, FISHの解析,予後解析は概ね終了している.現在,次世代シーケンサーを用いてTCF4を含む網羅的遺伝子解析を施行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に進捗している. 現在までに得られた IHC, FISH の結果と,施行中の網羅的遺伝子解析の結果を統合し,DEL の分子生物学的・臨床病理学的特徴を明らかにしたい.
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Causes of Carryover |
・実験試薬及び消耗品の購入費が予定より低くなった. ・研究成果を発表する学術集会の開催地が所属施設近隣となり,旅費の支出が低額となった. 次年度は,現在進行中の次世代シーケンサーを用いた遺伝子変異解析に関連する物品費に支出する計画である.
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