2023 Fiscal Year Annual Research Report
カイコを用いたサイトカインストーム発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K15461
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宮下 惇嗣 帝京大学, 付置研究所, 講師 (40818308)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カイコ / 自然免疫 / サイトカインストーム / 敗血症 / 炎症 / 緑膿菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、飢餓(Starvation)・有機溶媒(DMSO)の投与・病原体成分の接種(Pathogen)による複合ストレスによってカイコがショック死することに着目し、複合ストレスによる「サイトカインストーム」モデルを構築した。これまでに本モデルにおいて、血液中への凝集体形成(debris formation)、血清タンパク質の分解と総タンパク濃度の低下、全身の麻痺、血液のアルカリ化に伴う外骨格直下の尿酸剥離を認めていることや、プロテアーゼ阻害剤としてヒト臨床に用いられているナファモスタットが治療効果を示すこと、抗凝固薬としてヒト臨床に用いられているヘパリンが治療効果を示すこと、を見出している。ショックに関連して発現変動する遺伝子群を、血球細胞のトランスクリプトーム解析をもとに探索したところ、炎症性サイトカインやタンパク質分解酵素を含む51の遺伝子がショック関連遺伝子として同定された。以上の結果は、病原体成分の接種を引き金とする敗血症性ショック反応をカイコで再現することができ、その機序にはプロテアーゼ活性や血液凝固系の異常が寄与していることを示唆している。本モデルを治療薬候補化合物の探索に応用することが期待される。 病原体成分に対する生体応答は、広い意味では免疫反応の一端として捉えることができる。さらに本年度は、ショックを起こしたカイコの血清中に現れるサイトカインストーム誘導因子の精製にとりくみ、これまでに血清の硫安沈殿画分、DEAEセルロースカラムクロマグラフィーの素通り画分、CMセルロースカラムクロマトグラフィーの吸着画分に当該活性分子を回収できることを見出している。
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