2023 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症に対する間葉系幹細胞治療の除痛メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K16782
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
井石 智也 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (40774138)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、モノヨード酢酸を使用した薬剤性膝関節炎モデルラットを使用し, 片膝の膝関節内に対して, 複数の部位から採取した間葉系幹細胞(以下, Mesenchymal stromal stem cell: MSC)や、それらのMSC由来の培養上清液、同種ラット由来の多血小板血漿由来タンパク質を投与することにより, それらの除痛効果と損傷軟骨組織の修復作用を検討を行なっている. これまでの結果において, 疼痛行動試験では変形性膝関節群と比較して,治療群において, 膝関節運動の改善や軟骨修復作用、滑膜炎の軽減作用を確認することができた. さらに, 両側の第4腰椎高位の後根神経節(以下, Dorsal root ganglion: DRG)を採取して還流固定を行い, 神経損傷および軸索の再生のマーカーとして関節由来の発痛物質であるCGRPの免疫蛍光染色を行っている. これまでの結果では, 膝関節内の抗炎症効果のみでなく, DRG内のCGRPの発現の低下を確認することができた. DRG内のCGRPの発現は, 実際に関節内で起きている抹消組織炎症ではない疼痛感作が起因となっている可能性があることから, これら細胞治療によって, 変形性膝関節症患者様への慢性疼痛緩和への効果が期待されることが示唆された.今後はこれを立証するために, 自由神経終末の軸索延長の確認や逆行性トレースにより発現変化を確認していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
使用するMSCの多分化能、増殖能、抗炎症能の確認に検討を要したが、こちらも安定した細胞の使用が可能となった。培養の際に使用する細胞小胞などのMSC由来分泌物を含む上清液の作成に時間を有したが、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
全ての治療群のDRGと膝関節の解析結果を回収し、比較検討を行う。
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Causes of Carryover |
逆行性トレースやDRGの追加解析に使用するラットや試薬に使用する.
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