2023 Fiscal Year Research-status Report
Enhancement of Destination Competitiveness through Sport Tourism
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22K17701
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山下 玲 東洋大学, 健康スポーツ科学部, 准教授 (20778972)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | スポーツツーリスト / 環境配慮行動 / 目的地の競争力強化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績は二つある。まずはじめに、初年度行った調査(志賀高原を訪れたスポーツツーリストの現地での体験が環境配慮行動の意識変容に影響を及ぼすのか)の分析および国際誌投稿に向けての準備を進め、投稿を行った。結果、ツーリズム系のImpact Factorのつくジャーナル(Tourism Recreation Research)への掲載が確定した。論文の内容は次のとおりである。目的地における観光行動は環境破壊と密接に関係しており、スポーツツーリズムも例外ではない。そのため、目的地でのスポーツツーリストの経験が日常的な環境配慮行動にどのように波及するのかを、複数の認知心理学理論に基づき検証を行った。本研究を行うことで、持続可能な環境に関する文献に貢献することが出来たと考える。 また、スキーやスノーボードといったウィンタースポーツだけでなく、環境配慮行動が夏に行われるアウトドアスポーツ体験によってどのように刺激され、変化していくのかを検証することも有用であるとされている。よって、2023年度は高知県仁淀川町にある仁淀川スポーツセンターにてカヌーやカヤック等、スポーツを楽しみながら自然と触れ合える体験に参加した県外からのツーリストを対象に4時点の縦断的調査を実施した。なお、スポーツツーリズム研究において複数時点での縦断的調査を行うのは難しく、サンプル数が多く集まらなかったため、2024年度は別の対象者に対して調査を行いたいと考えている。 最後に、初年度行った志賀高原の別の調査について、現在スポーツツーリズム系国際誌に論文成果を投稿し、現在査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から行っている調査の成果は国際誌に投稿するなど、精力的に結果をまとめている。ただし、【研究業績の概要】にも記した通り、縦断的調査を行うリスクもあり、サンプル数の確保で苦慮しているのも事実である。次年度もより頑健性の高いデータ収集にチャレンジしつつも、なるべく多くのデータを収集できるような工夫を施しつつ、調査を続けていきたいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では、スポーツツーリストを対象に目的地でのスポーツ経験が個人の環境配慮行動意識の変容にどのような影響を及ぼすのかを実証的に検証することを試みた。今後の研究では、目的地の伝道師と言われる「ガイド」がどのような役割を果たしているのかや、スポーツツーリストの現地での環境保全に対する「寄付行動」に影響を与える要因を検証していきたいと考える。また、環境配慮に特化した目的地の競争力強化に向けて、自治体や事業者がどのような取り組みに専念しているのかを含めた検証を行うことで、より包括的な目的地の競争戦略に向けての一助になると考える。
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Causes of Carryover |
次年度繰越額(561,479円)が発生している。この理由のひとつは、縦断研究を行う上で最初の調査で多くの回答数を得られなかったことに起因する(台風などの天候の影響により、想定よりも参加者が少なかった)。これらを鑑み、2024年度では現地を訪れたスポーツツーリストが対象となるイベント複数にコンタクトを取り、大会や体験参加前になるべく多くのデータセットを回収できるような工夫を施し、縦断研究に挑戦し、より頑健性のあるデータを収集したいと考えている。
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