2022 Fiscal Year Research-status Report
フラボノイドのM2マクロファージ誘導機構を基盤とした慢性炎症疾患克服戦略
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22K17778
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中本 晶子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (90803536)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | フラボノイド / マクロファージ / M2 / 抗肥満 / メトキシ基 |
Outline of Annual Research Achievements |
多数のメトキシ基を保有するポリメトキシフラボノイド(polymethoxyflavonoid; PMF)および免疫細胞との関連に着目し、慢性炎症疾患の発症抑制に関する基盤的研究として、(1)多数のPMFの中から抗炎症性マクロファージの分化誘導に関わるIL-4産生増強作用をもつ物質をスクリーニングし、メトキシ基数および結合部位の構造生物学的な解析、(2)PMFのIL-4誘導機構について転写因子を中心とした解析、(3)IL-4による抗炎症M2マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用をマウスモデルで解析、(4)PMFが生体内代謝系に及ぼす影響について網羅解析を行い、明らかにすることである。 メタボリックシンドロームは慢性炎症が起因となる全身性の代謝異常を引き起こす疾患であるが、慢性炎症誘発には脂肪組織内のマクロファージが主体であると言われている。さらにその上流にはT細胞が存在し、IFN-γにより炎症型へ、IL-4により抗炎症型のマクロファージに分極することより、T細胞からのIL-4産生増強作用をもつPMFのスクリーニングを行うこととした。今回用いたPMFはいずれも柑橘類の果皮に多く存在するものであり、2~7個のメトキシ基を保有するものを用いた。C57BL/6マウスの脾細胞に対し、PMFで24時間前処理後、抗CD3抗体で48時間刺激した時の上清中に含まれるIFN-γおよびIL-4産生量についてELISA法にて測定した。その結果、IFN-γ産生についてはいずれのPMFでも産生抑制作用を示したが、IL-4産生に関してはメトキシ基を6つ以上保有するPMFでのみ顕著な産生増強作用が示された。メトキシ基の保有数が2または3つのPMFでは増強作用は認められなかったものの産生量が減少することはなかった。これにより、PMFの中にはIL-4産生増強作用を持つものが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数のメトキシ基を保有するポリメトキシフラボノイド(polymethoxyflavonoid; PMF)およびメタボリックシンドロームなどの慢性炎症疾患の発症に関与する免疫細胞との関連に着目し、慢性炎症疾患の発症抑制に関する基盤的研究として、(1)多数存在するPMFの中から抗炎症性マクロファージの分化誘導に関わるIL-4産生増強作用をもつ物質をスクリーニングし、メトキシ基数および結合部位の構造生物学的な解析、(2)PMFのIL-4誘導機構について転写因子を中心とした解析、(3)IL-4による抗炎症M2マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用をマウスモデルで解析、(4)PMFが生体内代謝系に及ぼす影響について網羅解析を行い、明らかにすることを計画している。 そのうち、(1)のPMFのスクリーニングの結果ではメトキシ基の保有数が6つ以上のPMFにおいてIL-4産生増強作用を示すことが分かった。以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでPMFの抗炎症性作用に関連する研究はいくつか報告されているが、PMFがどの分子をターゲットとし、結合するのかを検討した報告はほとんど見られない。 そのため今後、PMFのIL-4誘導機構について転写因子を中心とした解析をより詳細に進めていく必要がある。また食餌誘導性肥満マウスを用いて、スクリーニングで同定したPMFによりIL-4による抗炎症M2マクロファージ誘導によるメタボリックシンドローム抑制作用を発揮するのかを明らかにしていく必要がある。そのために、in vitroおよびモデルマウスを用いたin vivo解析を進め、免疫学に着目したPMFの抗炎症機構の新規探索を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、データ収集を主とし、解析は次年度以降に行うものとしたため次年度使用額が生じた。 次年度使用額の令和5年度での使用計画は下記のとおりである。 翌年度分として請求した研究費と併せて抗体・試薬購入および解析のための消耗品等として使用する予定である。 さらに、学会を通じた社会への発信事業に積極的に参加し、研究成果を広く社会へ広報するための旅費として使用するとともに、本研究に関連した成果を原著論文として投稿するために必要な英文校正、論文投稿用として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)