2022 Fiscal Year Research-status Report
快適な屋内空調環境づくりのためのセンサ融合による温熱快適性フロアマップ生成
Project/Area Number |
22K17885
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
吉川 寛樹 京都橘大学, 工学部, 助教R (10905350)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 温熱快適性 / 屋内空調 / 機械学習 / 生成モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
快適な空調環境が労働生産性や学習効率を高めることがわかっており,オフィスビルや学校など多くの人々が利用する屋内環境おいては,利用者の温熱快適性を考慮した適切な空調環境づくりが求められる.本研究では環境設定のレコメンドに用いることが可能な,個人の温熱快適性マップを生成するシステムの開発を目標としており,機械学習により個人の温熱快適性を推定するモデルを構築する必要がある.機械学習ベースの推定手法は人の温冷感を推定する際に高い性能を発揮することが知られているが,その推定器の訓練に用いられるデータの中には人のプライバシーに関わる情報も含まれる. そこで今年度はプライバシーに関わる情報を含んだ生体データを含む温熱快適性データセットに対し,生成モデルを用いてデータセット内に含まれる各データから個人を特定可能な情報の削減を目的として研究を行った.生成モデルは本研究で用いるような人のプライバシー情報を含むデータセットの匿名化に用いることに対して注目を集めており,本研究はその中でも変分オートエンコーダ(VAE)を用いて被験者の生体データを含む温熱快適性データセットに含まれる個人を特定することに関わる情報を保護するデータ拡張手法を提案した.被験者の活動を制御しない環境下で収集されたデータセットは,ほとんどが快適と感じる環境下でのデータが占めており,被験者が極端な温熱快適性ラベルをほとんど報告しないため正解ラベルである温熱快適性の分布が不均衡となる.この問題に対処するために,提案手法では温熱快適性の不均衡を緩和するための生成モデルに対する重み付き損失関数を導入した.評価により個人を特定可能な情報を削減したデータセットでも元のデータセットと同程度に機能するデータセットを生成可能であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画では,2022年度は温熱快適性フロアマップ生成のために提案手法及びシステムの構築を行う予定であった.この際に必要な温熱快適性を推定するモデルの構築を中心に,特に今年度は特に生体データを用いる本研究にとっても重要な問題となる,機械学習に含まれる個人情報やプライバシーの観点からそれらの情報を使用せずに訓練可能な温熱快適性推定器の構築に着目し研究を実施したため,2023年度以降に当初の予定であったLiDARを用いた人のトラッキングシステムの構築を行うこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は空調環境に関わるレコメンドに必要な屋内の温熱快適性マップの生成手法の構築を行い,データ収集を行う予定である. データ収集を行うための利用者の持つ端末から温熱快適性を収集するシステムは既に2022年度に構築済みであるため当初の予定を短縮することができ,開発予定である提案手法の温熱快適性マップ生成と組み合わせることでシステム全体が構築される. また,データ収集を行いながらシステムの動作を検証するとともに,利用者に無理のないフィードバックの数を調査することで,予定していた進度通りに研究を進める予定である. その後最終年度である2024年度ではレコメンド機能の開発とその効果の検証のための実験を行い,評価結果を学会等で発表することで手法の検討及び必要であれば 修正を行う予定である.
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Causes of Carryover |
研究計画の見直しを行ったことで,2022年度購入予定であった温熱快適性マップの生成及び,人のセンシングに必要な機器の購入しなかったため次年度使用額として計上されている. 2023年度にデータ収集を実施予定であるため,それらの機器は購入予定である.
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