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2022 Fiscal Year Research-status Report

河川汽水域に形成される高層塩性湿地の機能評価と管理手法の確立

Research Project

Project/Area Number 22K18053
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

小山 彰彦  九州大学, 農学研究院, 助教 (50814662)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords河口域 / 塩性湿地 / エコトーン / 生物多様性保全 / 自然再生
Outline of Annual Research Achievements

河口域に形成される植生域(塩性湿地)は多面的な生態系サービスを有する点で,持続可能な開発目標を達成する上で重要な環境である.しかし,塩性湿地が形成される河口域は,人為的な改変を強く受ける場であるため,その保全・再生が急務である.本研目的の1つは,ヨシ原よりも高い地盤帯に形成される植生域のエコトーン機能を評価することである.2つ目の目的は,塩性湿地の生物情報と非生物情報(物理化学環境)に基づき,塩性湿地の特性を評価することである.
本課題では福岡県の河口部を対象とする.目的の達成に向けて,初年度から次年度までに,20水系の塩性湿地を調査し,生物情報と環境情報を集積する必要がある.今年度は,県内の12水系を踏査し,計34ヶ所の塩性湿地を調査点とした.各調査点において,生物採集に加えて塩分や底質等の物理化学環境の測定を実施した.さらに,空撮画像から調査した塩性湿地のおよその面積を推定した.
生物調査の結果26種の十脚目甲殻類,35種の貝類,7種の魚類が確認された.また,未同定ではあるものの,ザトウムシ類やクモ類,昆虫類等の陸生生物も複数種確認された.現状のデータにおいて,各調査点での出現種数と環境データとの関係を解析した結果,種数に対して有意に相関する環境は認められなかった.現状ではまだデータ量が少ないため断定はできないが,塩性湿地に出現する生物の種多様性はこれらの環境の勾配に応答していない可能性がある.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の予定通りの水系数を調査できた.未同定の種が複数あるものの,遺伝子分析の準備を進めており,これらは次年度以降に評価できる.また,採取した底質の粒度分析等についても予定通りに進行している.当初の予定に含めていた群集解析は行えなかったが,この解析は次年度の追加データを踏まえて行うのが望ましいため,進捗に大きく影響していないと判断される.よって,未達成の部分もあるため,当初の予定以上の進展はないものの,全体の研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる.

Strategy for Future Research Activity

初年度の調査実績は概ね順調に進展しているため,今後も当初の計画通りに調査と解析を進める.初年度同様に野外調査によるデータ集積を主な目的として,10~15水系の塩性湿地を調査する.空いた期間で,未同定種の種判定作業を行う.場合によっては遺伝子分析等による評価も行う予定である.これらの野外調査は,生物の活動が活発な春季から秋季に行う予定である.
2年間の調査でおおよその野外データが集積できる予定であるため,データの整理が完了次第,研究目的達成に向けた解析を進める.湿地タイプにおける種多様性の比較に加え,塩性湿地の類型化を行い,塩性湿地の特性評価を試みる.

Causes of Carryover

次年度使用額が発生した主要な要因は,解析用PCおよび群集解析ソフトの購入を初年度に予定していたが,現在使用するPCである程度の解析ができたため購入を見送ったことである.ただし,これらの解析用PCおよび群集解析ソフトが不要になった訳ではないため,次年度に購入を予定している.また,移動・宿泊を伴う国内学会への参加を予定していたが,新型コロナウイルスの影響等により,参加を控えた,あるいはオンラインでの参加にとどめたことも次年度使用額が生じた理由である.よって,次年度使用額を使用して,今年度は初年度分も踏まえて研究成果報告,および情報収集を行う予定である.

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 多々良川河口干潟におけるイトメ Tylorrhynchus osawai (環形動物門ゴカイ科)の 生活史2022

    • Author(s)
      松本日向乃・小山彰彦・鬼倉徳雄
    • Organizer
      2022年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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