2023 Fiscal Year Research-status Report
State of Open Research Data and measuring its effects on the academic community: Cross-disciplinary comparisons and secular changes
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22K18151
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
池内 有為 文教大学, 文学部, 准教授 (60850245)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オープンサイエンス / 研究データ共有 / 研究データ管理 / データキュレーション / オープンアクセス / プレプリント / 学術情報流通 / FAIR原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、(1)研究データ公開の要求状況とその影響、(2)日本の研究者による研究データの公開状況、(3)研究データ公開の課題と支援状況について、それぞれ分析を行った。
(1)ジャーナルのデータ公開ポリシーを調査し、2014年、2019年の調査結果とあわせて分析した。具体的には、22分野の高インパクトファクター(IF)ジャーナル各10誌、合計220誌を対象として投稿規定等のレビューを行った。リポジトリ等による公開ポリシーの掲載率は2014年から23年にかけて59.5%から91.4%まで、補足資料による公開ポリシーは89.5%から95.0%まで増加していた。また、2019年までに新たにポリシーを策定したジャーナル群と策定していないジャーナル群の両方を含む8分野を分析した結果、5分野のポリシー有のジャーナル群に平均IFの上昇がみられた。 (2)2022年に実施した質問紙調査の結果について、国際調査との比較やデータ公開の課題を分析した。日本はジャーナルのデータ公開ポリシーがデータ公開の主な推進要因であり、助成機関のポリシーの影響は相対的に低かった。引用はデータ公開のインセンティブとして重視され、かつ、データを公開しても引用されない可能性はデータ公開の主な阻害要因であった。研究データ管理(RDM)のための人的資源の不足感も強かった。 (3)2022年に日本の大学・研究機関を対象として実施された調査結果を(2)とあわせて二次分析した。研究者が公開データを再利用する際、62.9%は問題があると認識しており、FAIR原則に沿ったデータキュレーションが必要とされる。研究者の48.4%はキュレーションを依頼したいと考えているが、調査時点の主なRDMサービスは機関リポジトリの提供に留まっていた。サービスの実施には、研究データのライフサイクルや知財等に関する知識や技術が重要であると考えられていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、(A)研究データ公開の要求状況、(B)研究データの利用/公開状況、(C)研究データ公開の効果の3つの調査カテゴリで構成されている。 (A)は予定通り2023年に調査・分析を実施した。(研究実績の概要(1)) (B)は2022年に実施した質問紙調査の二次分析を完了した。また、研究機関を対象とした調査との比較分析を行い、論文のオープンアクセスやプレプリントの実態調査とあわせた総合的な分析を進めている。(研究実績の概要(2)(3)) (C)は収集可能なデータが不十分であるため、(B)の調査に軸足を移し、より広範かつ詳細な分析を行うこととした。 当初の研究計画を一部変更したものの、(A)は予定通り、(B)は複数の調査を追加し成果が得られているため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、(1)オープンサイエンスにおける研究データ公開の課題分析、(2)日本の研究者を対象とした質問紙調査、(3)研究の総括を行う。
(1)日本の研究者による研究データ公開の実践状況や認識について、論文のオープンアクセス(OA)やプレプリントの調査結果とあわせて総合的な分析を行い、特徴や課題を明らかにする。 (2)研究データ公開、および論文のOAとプレプリントの実践状況や認識に関する調査を実施し、2022年の調査結果と比較する。 (3)これまでの研究の総括として、研究データ公開の実態と学術コミュニティに与える効果を分野間で比較し、経年変化を明らかにする。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金に計上していた調査が計画よりも短時間で完了したため、次年度使用額が生じた。円安により国際会議参加費用や論文投稿料(APC)が計画よりも高騰しているため、旅費等に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)