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2022 Fiscal Year Research-status Report

腫瘍免疫環境を反映する多糖ナノゲル型セラノスティクス医薬品の開発

Research Project

Project/Area Number 22K18194
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

三浦 理紗子  京都大学, 工学研究科, 助教 (40881694)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsセラノスティクス / 多糖 / ナノゲル / 光音響イメージング / 免疫療法
Outline of Annual Research Achievements

近年、がん免疫療法は第4のがん治療法として注目されており、多くのがん種に対する臨床応用が進んでいる。その過程で免疫療法が奏功しない、難治性で悪性度が高い “Cold Tumor” と呼ばれるがんの存在が明らかにされ、治療には早期検出と早期治療が重要である。そこで本研究では、生体適合性が高い多糖ナノゲルを基盤とし、Cold Tumor に分布する M2 型マクロファージを標的とした、造影剤と治療薬を一体化したセラノスティクス医薬品の開発を行った。
まず、親水性多糖であるプルランに、近赤外蛍光色素の IR-820 と抗がん剤前駆体の Aldoxorubicin を修飾した、PID(Pullulan-IR820-Aldoxorubicin)を合成した。IR-820 は近赤外光を吸収して光音響イメージング造影剤として機能し、Aldoxorubicin は腫瘍微小環境や細胞内エンドソームのような酸性 pH 環境に応答してリンカーが分解して抗癌剤の Doxorubicin(DOX)を放出する分子である。
合成した PID を純水で溶解し、ソニケーション、遠心、フィルター処理により凝集体を除去したところ、PID は IR-820 および Aldoxorubicin の疎水性相互作用を駆動力に、粒径約 36 nm の自己組織化ナノゲルを形成していることが明らかになった。PID ナノゲルは、酸性 pH に応じて DOX 放出量が増大し、colon26 細胞と相互作用させたところ、PID ナノゲルはエンドサイトーシス経由で細胞に取り込まれ、細胞毒性を示すことが明らかとなった。また、PID ナノゲルを取り込んだ細胞塊は光音響イメージングにより造影可能であり、PID ナノゲルが造影剤として機能したことが示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでに、本研究の基盤となる PID ナノゲルの開発に成功している。PID の合成法を確立し、機能評価として光音響造影剤として機能すること、同時に、酸性 pH に応答して抗癌剤を放出し、細胞毒性を示すことを明らかにした。これらの特長から、PID ナノゲルは造影と治療を同時に実現し得るセラノスティクスプローブとして機能し得ると期待される。本研究の基礎となる評価手法が確立されたため、進捗状況は概ね順調であると考える。
今後は、in vivo における造影・治療効果の評価が必要である。さらに、現状では Cold Tumor への標的部位を有していないため、PID ナノゲルを基盤に Cold Tumor への標的指向性を付与するべく、さらなる表面修飾が必要である。

Strategy for Future Research Activity

まずは、担癌マウスを用い、PID ナノゲルの血中滞留性、組織分布を評価する。続いて、PID ナノゲルによる腫瘍の光音響イメージング、および、抗腫瘍効果の評価を行う。
PID ナノゲルの in vivo 検討と並行して、Cold Tumor への標的指向性の付与について検討を行う。これまでに、Cold Tumor に分布する M2 型マクロファージを標的とし、M2 型マクロファージがマンノースレセプターを発現していることから、マンノースを表面修飾したナノゲル型光音響造影剤を開発し、マンノースの修飾により腫瘍集積性が向上することを明らかにした。そこで、PID ナノゲルへも同様にマンノースを修飾し、Cold Tumor への標的指向性の付与について検討を行う。マンノースの修飾方法は既に確立しており、マンノース修飾 PID の合成、物性の評価を進め、マンノースの修飾有無による Cold Tumor への集積性への影響について、評価を行う。

Causes of Carryover

合成スキームの検討のため、高額な試薬(医薬品)を複数個購入する予定で計上していたが、早期に合成スキームが確立したため想定より経費を節約できた。次年度は、タンパク質試薬や動物実験用試薬の購入に使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 多糖ナノゲルを用いた光音響応答性セラノスティクスプローブの開発2023

    • Author(s)
      鏡味 磨央,三浦 理紗子,木村 祐,秋吉 一成,近藤 輝幸
    • Organizer
      日本化学会第103回春季年会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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