2023 Fiscal Year Research-status Report
Pioneering a comprehensive method for humanities and social sciences in attention to the existence and disappearance of stray cats
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22K18253
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野塚 知二 東京大学, エグゼクティブ・マネジメント・プログラム室, 特任教授 (40194609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (00362400)
新原 道信 中央大学, 文学部, 教授 (10228132)
山井 敏章 立命館大学, 経済学部, 教授 (10230301)
北村 陽子 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (10533151)
高橋 一彦 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20197130) [Withdrawn]
芳賀 猛 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (20315360)
宮崎 理枝 大月短期大学, 経済科, 教授(移行) (20435283)
渡邉 健太 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (20582208)
鈴木 鉄忠 東洋大学, 国際学部, 准教授 (20726046)
梅垣 千尋 青山学院大学, コミュニティ人間科学部, 教授 (40413059)
長谷川 貴彦 北海道大学, 文学研究院, 教授 (70291226)
石井 香江 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (70457901)
西村 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80172708)
井上 直子 城西大学, 経済学部, 准教授 (80727602)
永原 陽子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90172551)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2027-03-31
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Keywords | 野良猫 / 自由猫 / 「野生の猫」 / 家族形態 / 介護形態 / 「猫おばさん」 / 室内飼い猫 / 野良猫の消滅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究には、Ⅰ現在、野良猫のいる社会といない社会の比較、Ⅱ現在は野良猫のいない社会における野良猫の消滅過程の解明、Ⅲ現在は野良猫のいる社会のうち日本やイタリアのように野良猫の存在態様が狭められている現状の解明、Ⅳ上記3領域の成果を踏まえた家畜人文学・家畜社会科学の新たな方法体系の開拓の四側面がある。 2022年度に研究組織外の専門家から示唆された点も踏まえて、猫(広くは家畜)と人間の関係に関する文献・資料調査、上記Ⅱに関する史料調査、上記Ⅲに関する実態調査・聴き取り調査を実施した。 3回の研究会は外部関係者の希望に基づき、柴内晶子氏(赤坂動物病院院長)、藤垣裕子氏(東京大学教授)、および岩合光昭氏(写真家)に開かれた形で実施した。内部では、井上直子、鈴木鉄忠、宮崎理枝、小野塚知二、山井敏章、石井香江が担当した調査の中間的な成果を報告した。 以下四点が明らかにされた。(1)野良猫が、問題化し始めた1950年代以降、「野良猫(stray cat, streunende Katzen, gatti randagio)」 という語が貶化させられ、忌避される傾向が共通に検出された。(2)人に伴われずに独りで外を歩く猫を指示するのに、「野良猫」に代わりうる概念として「自由猫(Freiganger, gattli liberi)」、「野生の猫(gatti selbatici)」や「外猫」などの語も登場している。(3)野良猫が消滅したと当初仮定した英国・ドイツなどでも、野良猫の存在を確認した。それらは郊外の家庭菜園、工業団地、墓地など特定の場所に棲息して、認識対象・言語化対象となりにくい。(4)野良猫の「保護」活動を特徴づけるのが捕獲・去勢であるが、その活動に携わる者は野良猫の絶滅を自覚的に目指しているわけではないが、「飼主のいない猫は不幸な存在である」という言説は例外なく観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
野良猫の有無と消滅の原因や、それらに関わる諸要因について基礎的な情報を収集し、猫と人の関係の歴史の再構成に着手し、研究実績の概要欄に記したような仮説を得るにいたった。 それらを通じて、①「野良猫」および類似の概念を比較史的に整理し、仮設する必要を認識するにいたった。2年目にして学問の新しい領域を開拓する際に必須の課題を掴みつつあるのは、当初の予想を越える進展具合である。②野良猫が北西ヨーロッパ諸国で完全に消滅したわけではないことが相当の証拠をともなって明らかにされ、当初の仮説を疑うに足る材料を得た。③野良猫(人に伴われずに独りで外を歩く猫)と中高年女性とを結び付ける言説が日本のみならず、英語圏、ドイツ語圏、イタリアにもあることが判明し、その関係や共通の基盤を探るという新たな作業課題を獲得した。 また、国内および海外での実態調査と史料調査のさらなる計画策定も順調に進んでおり、ヴィーンのVier Pforten International本部職員への聴き取り調査から、オーストリアよりも東側の欧州諸国(歴史人口学におけるヘイナル(サンクトペテルブルク=トリエステ線)の東側)やアジア諸国の調査の必要性を示唆された。 おもに英語圏を中心とした猫と人間の関係に関する研究者ネットワークと接触を始め、来年度に予定している国際シンポジウムの企画も徐々に具体化しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
実態調査と史料調査を進め、野良猫の有無を隔て、また、野良猫を消滅させてきた要因を析出する。また、「野良猫の有無」とは何を意味するのかを、猫の存在態様についての概念整理と「野良猫」等の呼称の比較史的研究を踏まえて、確定する。 そのために、まず第一に、英・独などで野良猫が消滅する以前の猫に関する言説や規範と、野良猫の消滅過程に作用した力学を、社会史、文化史、経済史、法制史、行政史、福祉史、獣医学史、家畜疫学史などの歴史研究諸分野の知見と方法を用いて明らかにする。第二に、英・独では現在も統計上は、人の管理・飼養下にない猫は存在することから、「野良猫の有無」とは何を意味するのかについて、法的観点と猫の存在態様の双方から迫ることで、飼い猫、野良猫、野猫などの猫の存在態様を表す概念を再定義することを試みる。ここが、2024年度以降の本研究企画の理論上の最大の挑戦点となるものと予想している。 第三に、猫をめぐる人間・社会の側の制度や取組について現状と近い過去を知るために、国内(長崎市など)と海外(イタリアとスロヴェニア・クロアチア・セルビアとの境界領域、中東欧諸地域、アジア諸地域)での調査を実施し、また系統的な調査を行うための計画を策定する。 第四に、研究成果の公開方法を具体化するとともに、国際シンポジウム等の外部に開かれた成果発表の機会を積極的に設け、また、関連諸学会での報告やパネルなどの企画も進める。
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Causes of Carryover |
3月末に終了した海外出張1件の経費支出が年度内に間に合わず、\512,830が2024年度の執行となった。 本研究企画で購入すべき資料・図書等が、必ずしも研究代表者・研究分担者が知悉した領域内では刊行・流通しておらず、しばしば不案内な領域で刊行・流通しており、いまだ充分に資料・図書等の入手が進んでいない領域が残されているため、2023年度に購入すべき資料・図書等の予算として計上した額の半分ほどに当たる¥578588が未使用で残されている。それに加えて、2022年度も同様の理由で、資料・図書等の購入費のうち、およそ40万円ほどが2023年度使用額として、繰り越されていた。 以上の合計が次年度使用額となるが、図書資料等の入手は、これまでの文献調査も踏まえて2024年度にはさらに進展するため、未使用額のうち物品費に当たる98万円ほどは2024年度内に使用できる予定である。
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Research Products
(36 results)
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[Journal Article] Podoplanin drives amoeboid invasion in canine and human mucosal melanoma2023
Author(s)
Shinada M, Kato D, Motegi T, Tsuboi M, Ikeda N, Aoki S, Iguchi T, Li T, Kodera Y, Ota R, Hashimoto Y, Takahashi Y, Chambers J, Uchida K, Kato Y, Nishimura R, Nakagawa T.
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Journal Title
Molecular Cancer Research
Volume: 21
Pages: 1205-1219
Peer Reviewed / Open Access
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[Book] 獣医外科学2023
Author(s)
西村亮平
Total Pages
717
Publisher
朝倉書店
ISBN
978-4-254-46039-1
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[Book] ハロー・ガールズ2023
Author(s)
エリザベス・コッブス、石井香江、綿谷志穂
Total Pages
440
Publisher
明石書店
ISBN
978-4-7503-5595-5