2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18307
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
舟窪 浩 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (90219080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 一輝 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60965937)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 室温合成 / 単純構造強誘電体 / 反応層フリー特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、超低消費電力で動作しCO2削減の切り札となる革新的強誘電体デバイスを実現するために、これまで不可能とされてきた室温合成可能な単純化合物強誘電体群を開拓することである。研究代表者は、陽イオンが1種類で結晶構造がシンプルな単純化合物(AXやAX2)であれば、結晶化のエネルギー障壁が低く合成時の劇的な低温化が可能ではないかとの着想を得た。本研究では、蛍石構造のHfO2基強誘電体とウルツ鉱構造のAlN基強誘電体を中心として結晶構造由来の強誘電性では不可能とされてきた、従来の常識を打破する“室温合成が可能な新規単純化合物強誘電体群”を開拓する。 本年度は、蛍石構造を有するHfO2基薄膜(YO1.5-ZrO2-HfO2組成)について、RFマグネトロンスパッタリング法を用いて非加熱での種々の組成の薄膜合成を、種々の基板上に試みた。その結果、以下を得た。 1 得られた薄膜は成膜後の熱処理なしでも結晶化しており、その構成相は室温合成後に900℃以上に加熱して得られる相と基本的には同じであった。このことは、構成相は主に膜組成で決定されていることを示唆している。 2 広い組成範囲で強誘電性が確認された。膜のZr/(Zr+Hf)比が大きくなると強誘電性が得られるY/(Hf+Zr+Y)比は小さくなった。 3 非加熱で作成した薄膜でも高温で熱処理した膜と同様に、電界誘起による結晶構造相転移が観測された。また、電界誘起で強誘電相が得られる組成でも薄膜の強誘電性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
広い組成範囲で、非加熱の薄膜で強誘電性を得ることができた。また、界面の解析にも着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
非加熱で強誘電性が得られる更なる組成拡張を行う。 また、薄膜と下部電極の界面構造の解析や薄膜自体の成長機構の解明を行うことで、非加熱合成の機構の解明を行う。
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Causes of Carryover |
今回は、新型コロナウィルス感染症の影響で参加できない学会があったため、また、当初購入する予定だった消耗品も他の予算で事前に購入できたため、予算を繰り越した。 次年度は、2022年度に参加できなかった学会に参加し、情報発信と情報収集を行う予定である。
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