2023 Fiscal Year Research-status Report
Promotion of hydrogen generation during low temperature serpentinization
Project/Area Number |
22K18325
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大竹 翼 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80544105)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 蛇紋岩化反応 / 水素 / ハルツバージャイト / フロースルー / 開放系 / pH / 二次鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで横置き式であった熱水フロースルー式実験装置において, カラム内での流体の経路と反応をより均質に行わせるために, 縦置き型への改良を行なった. その結果, 横置き型と比較して水素生成量が多少大きくなったが, 以前モデリングの予測結果と比較すると小さい値に留まっていた。今後, リークの原因をさらに追求する必要がある. また, フロースルー実験装置で溶液の初期pHを変化させる実験の予備実験として, バッチ式実験においてpHを変化させる実験を行なった。その結果, 初期pHを低下させると水素生成量は増加したが, 最終的なpHや溶存イオン濃度に大きな変化はみられなかった。このことは1次鉱物の溶解が水素生成の主要因であること, 溶液の化学組成は2次鉱物の沈殿によって規定されているというこれまでの考察と整合的な結果であり, フロースルー実験にて通水溶液のpHを低くすることで, 水素生成量の増大が期待される。 バッチ式実験において沈殿した二次鉱物を特定するために, 実験系の容量を大きくし, さらに初期鉱物を取り除くために実験後溶液の上澄みのみを濾過することによって低密度と思われる沈殿物の回収に成功した.回収した固形物を電子顕微鏡 (FE-SEM, TEM)で観察・分析したところ, 針状結晶の集合体で, これらはCaやNaを一部含む低結晶性Mg珪酸塩鉱物であると考えられる。この鉱物が溶液組成を規定していると考えられるが, その一方で水素生成の要因となる鉄は含まれていなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フロースルー実験装置の改良を行うことができたが,水素量は予想した通りには増大しなかった。いまだにリークの原因となっている箇所があると考えられるため。バッチ式実験では初期pHが水素生成量に影響することが明らかになったため, この知見をフロースルー式実験に活かすことができる。実験時に生成した二次鉱物の同定には成功したが, 水素生成の要因となっている鉄が含まれておらず, 鉄を含む鉱物相の同定には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
改良したフロースルー実験装置リークの原因を追求する必要がある。特に水素補修の方法についてさらなる検討が必要である。その後に, 初期pHを変化させた実験を行う。実験後の固体については, これまでのところバッチ式実験での沈殿物しか分析できいないが, フロースルー式であれば, カラムの前後で生成物の量も異なるはずであり, より連続的な固体の変化が観察できる可能性があり, 今後分析を進めていく。鉄を含む沈殿相は未だ同定ができていない。反応率を上げた実験後の固体分析により, 鉄を含む沈殿相の同定を進めていく。
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Causes of Carryover |
フロースルー型実験装置の改良が遅れたために実施できた実験回数に限りができた。その結果, 分析回数や消耗品の消費なども少なくなった。今年度、実験回数を増やしていく予定である。
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