2022 Fiscal Year Research-status Report
血液脳関門を介さない皮膚から脳への新規薬剤輸送機構の解明
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22K18392
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金田 眞理 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座教授 (70397644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 秀樹 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90230044)
前田 真一郎 大阪大学, 大学院薬学研究科, 講師 (60452398)
小池・熊谷 牧子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座助教 (30391949)
中村 歩 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40602686)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | シロリムス局所外用療法 / シロリムス / 新規薬剤輸送機構 / 中枢神経病変治療用外用薬 / 血液脳関門 / 結節性硬化症 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
結節性硬化症の皮膚病変治療薬である、mTORC1阻害薬シロリムスの塗り薬を使用した患者の中に、皮膚への少量塗布で血中シロリムス濃度の上昇なく、てんかんが改善する患者が現れた。そこで、皮膚塗布により、シロリムスが血液を介さない新規のルートで脳へ輸送され効果を発揮したと考え、その機構の解明を目指すことにした。皮膚塗布により、血液脳関門を介さずに中枢への薬剤輸送が可能になれば、中枢神経病変治療薬の開発を阻む血液脳関門の問題が解決され、中枢神経病変の治療薬の開発に進展をもたらすことができる。 今年度は、まず、てんかんを発症し、シロリムスの全身投与で治癒する、結節性硬化症のモデルマウス(TscMitf CKOマウス)を用いてシロリムス外用薬のてんかん抑制効果を検討した。その結果結節性硬化症のモデルマウスにおいてもシロリムスの外用でてんかん発作の消失や頻度の低下が認められ、これらの効果は外用中止で消失することが確認できた。さらに、マウスの脳のManganese-mediated MRIを用いた検査により、結節性硬化症モデルマウスの脳では神経細胞やグリア細胞の活性化の異常が認められ、シロリムス外用薬の皮膚への塗布でそれらの異常が改善されることも確認した。以上よりマウスにおいても、シロリムスの局所外用により、てんかんが抑制されると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では概ね予定通りの進捗であるが、ロシアのウクライナ侵攻などの影響で、一部の試薬の入手に時間がかかり、一部の実験でやや遅れ気味のものがあった。ただし、2023年度に入って遅れを取り戻しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
TSCモデルマウスでのシロリムスの外用によるてんかん発作の抑制が確認できたので、コントロールマウスでもTSCモデルマウスと同様の結果が認められるかを検討する。 さらに、外用によるてんかん抑制の機序について検討する。まず、シロリムスの皮膚から脳への輸送を確認するために,前述のモデルマウスにシロリムスゲルを外用し、マウスの皮膚組織、脳組織それぞれにおけるシロリムス濃度をLC/MS/MS法で測定する。さらに、それぞれの組織切片を作製し、シロリムスに対する抗体を用いて染色し、各組織への移行を免疫組織学的に確認する。人における観察では、非侵襲的なレーザーラマン顕微鏡での観察が必須であるので、レーザーラマン顕微鏡を用いて、経時的にモデルマウスの皮膚から脳へのシロリムスの分布を調べ、前述の免疫組織学的研究の結果との相関を確認する。 次いで皮膚から脳への輸送における表皮細胞、線維芽細胞、神経細胞などの関与を検討するために、モデルマウスのさまざまな細胞を分離培養し、培地にシロリムスを添加して細胞内のシロリムスの移動をレーザーラマン顕微鏡で確認する。 シロリムス以外の薬剤でシロリムスと同様に血液を介さない中枢神経系への輸送が可能な薬物の有無を検討する。 研究を遂行する上での課題等としては、ラマン顕微鏡を用いた生態におけるシロリムス外用薬の動態観察において、マウス皮膚では、マウスの毛特に黒色の色素が観察の障害になることがわかり、観察方法の改善を検討中である。
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Causes of Carryover |
2022年度は、ロシアによるウクライナ侵攻問題の為、必要な試薬が入手できなかった。 そのため、次年度(2023年度)に繰り越して、実験を進めていく計画である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Clinical Practice Guidelines for Pseudoxanthoma Elasticum (2017)2022
Author(s)
Iwanaga A, Utani A, Koike Y, Okubo Y, Kuwatsuka Y, Endo Y, Tanizaki H, Wataya-Kaneda M, Hatamochi A, Minaga K, Ogi T, Yamamoto Y, Ikeda S, Tsuiki E, Tamura H, Maemura K, Kitaoka T, Murota H.
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Journal Title
J Dermatol
Volume: 49
Pages: e91-e98.
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Distribution of Hypomelanotic Macules in Tuberous Sclerosis Complex: a Retrospective Cohort Study2022
Author(s)
Aya Takahashi, M.D. Ph.D., Satoshi Hattori, Ph.D., Ena Sakai, B.S., Lingli Yang, M.D. PhD., Ichiro Katayama, M.D. Ph.D., Manabu Fujimoto, M.D. Ph.D., Wataya-Kaneda Mari, M.D. Ph.D.
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Journal Title
J Am Acad Dermatol.
Volume: 87
Pages: 237-240
DOI
Peer Reviewed
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