2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18472
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
市島 佑起子 鹿児島大学, 総合科学域総合教育学系, 講師 (60714805)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 地域方言 / 外国人留学生 / 日本語教育 / インタビュー調査 / 地方大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度の主な研究活動として、外国人留学生と地域方言に関わる先行研究の整理、留学生・日本語教育担当者へのインタビュー調査、調査結果のデータ化・分析及び、分析結果に関する国際研究大会での発表を行った。 【先行研究整理】昨年度実施した先行研究基礎調査に基づき、本研究テーマに関するこれまでの研究、言説について整理・分析を行った。 【留学生・日本語教育担当者への調査、データ整理】地方大学に在籍経験のある元留学生への調査をインタビュー形式で継続実施した。また、国際交流基金フランス事務所にて、日本語教育担当者への調査を実施した。両インタビュー内容を文字データ化し、質的分析の基礎資料として整理を行った。さらに、前年度検討していた質的データ分析支援ソフトのNvivo(ユサコ株式会社)を購入し、インタビュー内容のデータ化、整理、質的分析の大幅な効率化を進めた。 【国際研究大会での発表】「JSAA-ICNTJ2023豪州日本研究学会研究大会 /国際繋生語大会(豪州)」、「韓国日本語学会第48回国際学術大会(韓国)」、2つの国際研究大会において2件の研究発表を行った。関連分野、特に日本語バリエーションを研究対象とする他機関研究者らと意見交換し、情報収集の機会を得た。 令和5年度は上記のような研究活動を通して、本研究課題の柱となる、留学生教育、日本語教育において地域方言をどのように示し扱うかについて、広く検討するための情報収集及び共有を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の令和5年度研究計画に照らして、各種調査の実施を中心にやや遅れが出ている。研究計画の3つの柱として、(1)地方大学に在籍する留学生/在籍した元留学生への調査、(2)東アジア高等教育機関の日本語教育担当者への調査、(3)学会発表やWeb情報発信を通した研究成果の公開がある。 まず、(1)(2)に関連した先行研究調査は順調に進んでいる。前年度は先行研究調査を通して本研究課題の進め方全体を見直すことができた。本年度はさらに、先行研究が明らかにしたもの、課題としていることを整理し、インタビュー内容の精査及び学会発表につなげた。 (1)のインタビュー調査、(2)のオンライン質問紙調査は遅れが出ている。(1)の留学生/元留学生に対するインタビュー調査は、前年度同様数件にとどまった。主に調査時間の負担による辞退や、日程調整が困難だったことが原因である。 (2)の日本語教育担当者への調査は遅れている。これに代わって他地域の例としてフランスでの調査を実施したが、東アジア地域での被調査者選定や調査依頼は未実施のままとなった。一方、本年度は質的データ分析支援ソフトNvivoを購入し、データ整理及び分析作業が効率的に実施できる環境を整えた。 (1)(2)の遅延調査については、令和6年度以降の実施または別措置での実現を目指す。このような状況下ながら、(1)で実施した調査の結果をもとに、分析ツールを使用した質的分析を進めている。また、(3)情報発信として、豪州、韓国で行われた国際研究大会において2件の中間成果発表を行った。加えて、2024年4月時点で、8月実施の国際研究大会での発表1件も確定している。 以上のように、調査を中心に遅れが見られるものの、研究課題終了までの調査、分析、成果公表に重大な影響が出ないよう計画全体を見直しながら研究を進めたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
3つの柱として、(1) 留学生/元留学生への調査、(2)日本語教育担当者への調査、(3)学会発表やWeb情報発信を通した研究成果の公開がある。 まず、(1)留学生/元留学生への調査人数について、初年度に下方修正した数を達成するため、引き続き被調査者への声掛け、調査を実施する。現実的かつ合理的な人数設定として、(1)全体で十名程度を目標とし、(2)の被調査者は東アジアに限らず、多様な日本語教育担当者をターゲットとして幅広い分析、考察につなげたいと考える。 また、(3)のWeb情報発信ツールとしてGoogle Siteを利用し、発表成果や収集整理した先行研究の共有などを進める。 さらに、国際大会での研究発表及び論文投稿を通して、本研究で明らかになった現状や課題を広く公表し、本課題についての議論を深め、成果を共有することを目指す。
|
Causes of Carryover |
令和5年度は、各種調査の遅延・未実施、調査結果データ化方法の見直しなどから、約52万円を繰り越した。 まず、(1)留学生/元留学生への調査が一部遅れていること、(2)東アジアの高等教育機関日本語教育担当者への調査が未実施であったことから、調査協力謝金・出張経費の一部が未使用となった。また、(1)(2)の調査内容をデータ化するための文字おこし・翻訳アルバイト謝金分の経費を計上していたが、質的データ分析支援ソフト(Nvivo)を購入、利用開始したため、必要経費が大幅に削減された。さらに、研究成果発表のための研究会参加は、2件不採択により参加を見送ったため、一部出張旅費が未使用となった。以上のようなことから、前年度分も合わせて合計約52万円を繰り越すこととなった。 この繰越分については、本調査協力者への謝金や海外出張等で、令和6年度に使用する計画を立てている。既に発表採択された2024年8月の「ICJLE2024日本語教育国際研究大会」は米国での開催が予定されており、当初計画よりも出張費が高騰する見込みである。
|