2023 Fiscal Year Research-status Report
胎生期のバイリンガル体験が生後半年間の受動的言語処理に及ぼす影響
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22K18482
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
田浦 秀幸 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (40313738)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 胎生児 / 生後半年 / バイリンガル / 受動的言語処理 / 近赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
父母の母語が異なる国際結婚家庭に生まれるバイリンガル新生児は、胎児期から既に2言語に接している。母体内での2言語接触が、(1)バイリンガル新生児の出生直後及び6ヶ月後に受動的言語能力にどのような影響を及ぼし、(2)言語聴解時の脳内コネクトーム(ネットワーク)構築にモノリンガル新生児とどのような差があるのかを明らかにする研究である。 胎児期のバイリンガル体験が新生児にどのような影響を及ぼすかに関する研究(視線調査等)は、僅かに行動研究で存在するが、脳賦活度に関しては存在しない。モノリンガル新生児とバイリンガル新生児から出生直後と生後6ヶ月後の2度に亘って、行動データと脳賦活データを収集して、二言語接触体験の有無による比較研究を世界で初めて行うものである。 初年度の2022年度は、まだまだコロナ禍の状況が続いており、次年度以降の本格的なデータ収集に向けてタスクの精査の為に、対象乳児よりも年齢の高い児童に対してパイロットを行った。事前に予期できなかった乳幼児対象の研究の困難点が浮かび上がり、タスク及びデータ収集時の実験者の体制面に関する再検討を行い、概ね2年目のデータ収集の準備が整った。 2年目の2023年度は、同じタスクを用いて3バイリンガル新生児・2モノリンガル新生児から出生直後及び3ヶ月後にデータ収集が予定通りできた。但し、データ収集中に新生児の頭部が動きプローブは外れたケースもあったので、データ分析完了後一部のデータの削除の可能性がある。同時に、パイロット参加乳幼児3名から縦断的に受動・産出語彙に関する情報を毎月保護者から入手することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新生児からのデータ収集が、モノリンガルとバイリンガルから予定通りできた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、出生時と生後6ヶ月後の近赤外分光法データを群内(各新生児の成長比較)・群間(モノリンガルとバイリンガルの比較)を行うので、研究最終年度には6ヶ月後のデータを収集し、脳賦活データ分析を行う。同時に既に言語産出を始めた後のバイリンガル児とモノリンガル児の言語発達状況を両親の報告及び定期的に行っている語彙テスト結果を総合的にまとめ、最終報告書に繋げる。
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Causes of Carryover |
被験者数が当初計画していた人数集まらず(コロナ禍の影響はまだまだ新生児募集には大きい為)、謝金部分が翌年繰越となった。
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