2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K18638
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
川上 雅弘 京都産業大学, 生命科学部, 准教授 (30569231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 研治 茨城大学, 教育学部, 教授 (00312596)
桜木 真理子 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 研究員 (20987193)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | DIYバイオロジー / ELSI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、インターネットの普及で情報収集が容易になったこと、遺伝子の解析や合成の費用が安くなったことなどを背景に市民が日曜大工感覚でバイオテクノロジーの実験を行なう「DIYバイオロジー(DIYバイオ)」が可能な土壌が整いつつある状況を見据え、DIYバイオに対する市民の認識を明らかにしながら、DIYバイオに関わる倫理的・法的・社会的課題(ELSI)の調査を行い、さらにはDIYバイオのELSIについての教育プログラムを開発することを計画している。 今年度は昨年度実施した予備調査の結果を利用し、一般市民の中にDIYバイオへの認識がどの程度広がっているかを調査するためのインターネットアンケート調査を行った。この結果、「DIYバイオ」又は「バイオハック」の認知率は、調査回答者(2000人)のうち約3割、さらにこれらの言葉について説明できる割合は約3%にとどまり、一般市民への認知程度は高くなかった。一方で、DIYバイオコミュニティの増加への評価は、58.3%が賛成であり半数を超えていた。特に20代や30代といった若年層が好意的であった。またDIYバイオコミュニティの国際比較より日本のDIYバイオコミュニティは、欧米よりも実験内容の透明性の確保や適正な管理運営への意識が高いと考えられた。このようなことからDIYバイオの日本での拡大には一般市民に関心を持ってもらい理解してもらうには、研究の合法性や安全性を伝えることや海外の成功例を紹介することが必要と考えられた。また北米や欧州で策定されているDIYバイオの倫理規定の整備が国内では行われていないことから策定が求められると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度から遅れていた一般市民対象のDIYバイオの認識調査およびELSIの整理については文献調査や課題整理などが進んだものの、最終的な目標としている教育プログラムの開発については進んでおらず、当初予定から研究計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画よりも研究進捗は遅れているが、今年度実施した一般市民のDIYバイオの認識調査の結果やDIYバイオのELSIに関する調査結果をもとに進めている、DIYバイオが広がる社会に必要なELSIについての整理を引き続き進め、その上でDIYバイオのELSIの認識に資する教材開発を進める。
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Causes of Carryover |
初年度にインターネットアンケート調査やELSI整理の進捗が遅れたため教育プログラムの開発への取組が遅れ、これに係る費用について次年度使用額が生じた。2024年度は当初の予定通りに教育プログラムの開発を進める予定である。
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Research Products
(3 results)