2022 Fiscal Year Research-status Report
内因性光感受性網膜神経節細胞の特性に着目した照明による静止画像錯視への作用
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22K18651
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
小崎 智照 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (80380715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妹尾 武治 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (40546181)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 運動錯視 / 静止画像 / LED / 点滅光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の分担者による先行研究では錯視を感じる静止画像と灰色の画像を5Hzの速度で交互に提示した場合に、静止画像に対する錯視を強く感じることが報告されている。ヒトが光の点滅を感じる周波数の上限は臨界融合頻度(critical flicker frequency;CFF)として知られており、おおむね80Hzまでだとされている。つまり、CFF以下で画像を点滅させた場合には、その画像による錯視を強く感じることが示唆されている。しかし、いくつかの先行研究から内因性光感受性神経節細胞(ipRGC)や錐体細胞は100Hz程度までの点滅光に対して同期した電位を発することが報告されており、CFF以上の点滅速度でも錯視を強く感じる可能性がある。よって、本研究では50Hzから100Hzまでの白色点滅照明条件下で静止画像に対する錯視への感じ方を調べた。本研究で用いた静止画像は分担者の過去の研究で用いたものと同じものとした。その結果、分担者の先行研究よりも点滅速度の速い50Hzと75Hzの照明環境下でも錯視を強く感じることが確認された。さらに、100Hzの点滅光環境下でも同様に錯視を強く感じることが確認された。以上より、CFF以上の点滅速度でも点滅光環境は錯視を強く感じさせる効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はこれまで検討されてこなかった100Hzまでの高速点滅光環境が錯視を強く感じさせることを明らかとした。また、以上の成果は国内学会にて発表2件、国際学術雑誌への論文1編として投稿している。これらの成果は当初の年次計画に沿ったものであり、研究の進捗は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は100Hzまでの高速点滅光環境が錯視を強く感じさせることを明らかとした。これはipRGCや錐体細胞が高速点滅光に対して時間的に応答できることが原因であると考えられる。しかし、本年度用いたLED照明は白色であり、ipRGCを含めた全ての視細胞を刺激している。つまり、本年度得られた成果からは高速点滅光による錯視への作用がipRGCに起因するのか明らかにすることはできない。そこで、次年度はipRGCが主に反応する短波長(青色)光とipRGCが反応しない長波長(赤色)光を用いて、それら異なる波長の光に対する錯視画像への感じ方を調べる。また、100Hz以上の高速点滅光に対しても同様の作用があるのか検討する。
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Causes of Carryover |
当初計画で予定していた国内外での情報収集や研究成果発表を新型コロナウイルス感染症のため延期したことから旅費や学会参加費に余剰ができた。また、国際学術雑誌への論文投稿も行っているが、未だに受理には至っておらず、その論文掲載費も未使用となっている。次年度は本年度実施できなかった国内外での情報収集や研究成果発表を行う。また、次年度中に国際学術雑誌への論文受理を目指す。
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Research Products
(2 results)