2023 Fiscal Year Research-status Report
Geometry of Moduli spaces of Connections and Higgs fields and their Applications
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22K18669
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
齋藤 政彦 神戸学院大学, 経営学部, 教授 (80183044)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 放物接続のモジュライ空間 / 放物Higgs束のモジュライ空間 / 幾何学的ラングランズ対応 / 見かけの特異点の理論 / フーリエ・向井変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、代数曲線C上の安定放物接続と安定放物Higgs束のモジュライ空間を見かけの特異点理論を用いて研究した。既約な安定放物Higgs束の場合は、一般階数の場合でも、見かけの特異点q_iとその双対p_iの定義は確定し、モジュライ空間M_HがC上のある直線束Lの全空間を代数曲面と見た時の点のヒルベルト概形と双有理であることが示されている。このことはBeauville-Narasimahan-Ramananの定理を本質的に使って証明される。安定放物接続の場合も同様に見かけの特異点q_iは標準的に定義できるが、双対座標p_iの定義が定かではない。階数2の場合には、q_i, p_iは定義されるが、光明、Loray, 齋藤、Szaboの共同研究によりp_iが直線束Lのファイバー座標ではなく、それに付随したアファイン束のファイバー座標であることを確かめた。また、稲場・岩崎・齋藤が定義した放物接続のモジュライ空間の正則シンプレクテック構造に関して、この座標が標準座標を与えていることも示された。この結果は共著論文にまとめられ現在投稿中である。プレプリントはarXiv:2309.05012にある。現在、この結果を高い階数の場合に拡張し、またモノドロミー保存変形を与える微分方程式のハミルトニアンを上の標準座標で記述する公式を導くことを目的とする。2024年度に京都大学数理解析研究所で行われる訪問滞在型研究プロジェクトの組織委員を務め、外国人研究者国内研究者を含めた共同研究を推進するため、代数幾何学と可積分系の研究集会を4つ開催するための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の代数曲線上の安定放物接続と安定放物Higgs場のモジュライ空間MとM_Hの見かけの特異点理論については、光明、Loray、Szaboらと頻繁に連絡を取り合い研究を進めている。光明、Biswas, 稲場との枠付き対数接続のモジュライ空間の研究においても、そのシンプレクテック構造の存在を示している。岩崎は底曲線が種数2以上で階数が2の時の理論をモノドロミー空間の自然な2形式をリーマン・ヒルベルト対応で引き戻した時の記述を見かけの特異点とその双対により記述しているが、対応するモノドロミー保存変形の微分方程式のハミルトニアンが自然に得られるので、これを今後は、階数一般の場合に確立する予定であり、証明のアイデアは得ている。 モノドロミー空間の2型式は、局所系の自己準同型束の交差コホモロジーと対応するD加群の同型を介して理解されるので、この立場からM上の2型式の記述を進めたい。量子曲線や位相的漸化式とパンルヴェ方程式の関係は、今後非常に重要な役割を果たすと思われる。 2024年に京大数理解析研究所のプロジェクト「Developemant of Algebraic Geometry related to Integrable Systems and Mathematical Physics」の組織委員となっているので、プロジェクト研究を進めて大きな成果につなげたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度に京都大学数理解析研究所で予定されている訪問滞在型研究プロジェクト「可積分系・数理物理学の関わる代数幾何学の発展」において、幾何学的ラングランズ対応、位相的漸化式、量子曲線、ミラー対称性、カラビ・ヤウ多様体、放物接続・Higgs束のモジュライ空間とリーマン・ヒルベルト対応、パンルヴェ方程式とそのτ関数について研究集会およびワークショップを4つ開催する予定である。海外からの招聘される研究者と連携して、研究を推進する。 特に、放物接続のモジュライ空間の見かけの特異点による標準座標の理論を完成させ、放物接続のモジュライ空間のコホモロジーの計算が可能になるように研究を進める。Webによるパンルヴェセミナーを継続し、最新の研究成果を共有する体制を構築する。
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Causes of Carryover |
本務大学の校務、学術会議会員の仕事が想定より多かったことと、1月に手術をしたために体調が回復せず、海外出張を中止したことにより、次年度使用額が生じた。
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