2023 Fiscal Year Research-status Report
Special solutions to discrete integrable systems and transcendental numbers
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22K18676
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大山 陽介 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (10221839)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | q-パンルヴェ方程式 / 超幾何方程式 / セグレ曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はq-パンルヴェ方程式の大域解析について研究を進めたが、本研究の中心部分には至っていない。まず、q-パンルヴェVI型方程式のモノドロミ空間が4次のデル・ペッツォ曲面、いわゆるセグレ曲面になることを用いて特殊解の研究を行ない、4月に神戸大学でのWebセミナーで報告した上で、8月に早稲田大学で開かれた国際研究会「10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics」においてもq-パンルヴェVI型方程式のモノドロミ空間と特殊解の関係について解説した。本研究の目的である、超越数への適用のためには不確定特異点の場合、すなわちq-パンルヴェ方程式のI型からV型に類似の理論を作らなければならない。III, V型については大体できているので、3月の日本数学会で「Mano's decomposition and q-Painleve equations」としてq-パンルヴェVI型の場合の眞野分解の類似をまとめて報告してある。 特殊解のうち、セグレ曲面の上の16本の直線が交差する場合のいくつかに対しては、原点および無限遠点の周りで一価有理型になる解が対応する。この事実はモノドロミ空間の有用性を示す例となっている。12月にオーストラリアのシドニー大学で行われた国際研究会「11th Workshop on Integrable Systems」において報告した。また、日本数学会 中国・四国支部例会においても概要のみを報告している。 本研究のテーマである可積分系と超越数との対応にはまだ至ってはいないが、q-パンルヴェ方程式の大域構造については次第に明らかになっている。また、本研究において超幾何函数が鍵になっていることから、第33回数学史シンポジウムにおいて「超幾何級数・小史」として歴史を紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
q-パンルヴェ方程式の研究の方に進んでしまっているが、超越数が登場するのは不確定特異点の場合であろうと考えている。不確定特異点を扱うためには退化する前の確定特異点型の場合をしっかりと扱わなければいけないので、今年の研究は寄り道ではなく時間がかかっても不可欠なことである。しかしながら主目的である超越数の研究には程遠いために「やや遅れている」と判断せざるを得ない。今後は離散パンルヴェ系で不確定特異点の周りの解を調べて何らかの超越数と関わる研究を考察したい。 経験的にはq-パンルヴェII型方程式あたりの方が見やすいはずであるし、また加法的差分方程式の方がより自然だと思っているが、加法的q-パンルヴェ方程式のモノドロミ空間が特にI型II型ではよくわからず、時間ばかりかかっている。この点も「やや遅れている」と判断する理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
q-パンルヴェ方程式の大域的な研究は、本研究テーマに直結するものでもないが、それ自身重要なので今後も継続していく。特に不確定の場合は、本研究とは強く関係するものである。q-パンルヴェ方程式だけでなく加法的な差分パンルヴェ方程式の構造を調べることも重要であり、結局は特殊解の考察に落ちるにせよ、どの特殊解を選ぶと良いか考察する上では大域構造の研究は不可欠であると考えてる。 昨年度考察したEuler-Poisson-Darboux 方程式のq-類似自体についてはそのままになっているが、ゲルファントのグラスマン多様体上でパンルヴェ方程式を考察することも重要である(大山の昔の研究でもある)。離散の場合にも同様に幾何的に考察することも重要ではあるので引き続いて研究していく。 また、非古典型の場合の直交多項式・超幾何方程式・離散パンルヴェ方程式を統一的に見ないことには超越数へのアプローチは簡単ではないだろう。非古典型直交多項式と離散パンルヴェ方程式の幾何学的なアプローチも一つの方向であると思われる。離散パンルヴェ方程式と超越数の関係をもう少し大域構造という幾何学的な視点から見直すことを最終年度の研究の一つとしたい。 他方では、本研究を始めた原点に立ち返って素朴に離散方程式の特殊解を扱っていこうとも思っている。不確定特異点の周りでのある意味で「行儀の良い解」が重要な役割を果たすはずであり、離散の場合は「行儀の良い解」がまだ十分に説明できていない。
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Causes of Carryover |
本年度の使用額は本年度の交付金額を若干超える程度であり、令和5年度に限れば計画通りに進行している。次年度使用額が残ってしまったのは、令和4年度がコロナ禍に対する対応策が整った1年目であったために旅費などが計画通りには使えなかったことが大きな理由である。本年度も海外渡航の予定があるので、残額と合わせて令和6年度中には研究計画も予算の使用計画も両方を可能な限り進めていきたい。
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Research Products
(10 results)