2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of a foundation for discrete complex analysis
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22K18677
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
石渡 哲哉 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (50334917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榊原 航也 金沢大学, 数物科学系, 准教授 (30807772)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 離散複素解析 / 離散正則性 / コーシーの積分表示 / 離散円周率 |
Outline of Annual Research Achievements |
複素解析は工学においても有用な数学的道具としても使われ、また数学的にも非常に整備された枠組みである。応用の観点からは、各定義や式などが離散化され近似計算に使われているが、正則性や調和性の概念そのものを離散の枠組みで構築する試みも1940年代ごろより研究がされており、特に離散調和性に基づく一定の成果が得られている。2000年代に入り、その応用として物理学やCGの分野にも影響を与えている。本研究では、従来のコーシー・リーマン方程式の離散化をベースとした離散正則性の導入をやめ、モレラの定理の離散版を離散正則性の基礎に置くことにより、メッシュの形状に制限のない離散正則性の導入を行うことができた。さらに、サイクルに依存した離散円周率の導入により、まだ近接サイクルのみであるがコーシーの積分表示や積分路変形原理に対応する離散版の積分路変形公式を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れている点としては、現在得られている離散コーシーの積分表示は、近接サイクルのみであることと、まだ高階の微分係数に関する公式が得られていない。また、関連して平均値の定理に相当する公式の構築が遅れている。このあたりの整備を進め、離散調和性の概念や離散最大値原理の構築を進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前項と関連するが、高階の微分係数に関する離散コーシーの積分表示の構築を進める。これまでの考察により、導関数の定義をグラフ上のnode上に行うか、edge上で行うか、を微分階数に応じて適切に進める必要があると考えている。これらの考察を進め、さらに平均値の定理、離散調和性の概念や離散最大値原理の構築を進める。
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Causes of Carryover |
2023年度は当初計画にあった学会発表等を順当に行えたため、当初予算相当については順当に使用した。しかし、2022年度分を繰り越した分について、当初予定を超えて学会発表等に行く時間的余裕がなく、ほぼそのまま残ってしまった。
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