2023 Fiscal Year Research-status Report
定常状態の変形組織に達した多相系天然岩石に適用できる差応力計の開発
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22K18731
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田阪 美樹 静岡大学, 理学部, 准教授 (80772243)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 変形組織 / 多相系 / 応力計 / 電子線後方散乱回折 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「定常状態の変形組織に達した多相系天然岩石から変形時の情報を読み取るために新しい差応力計を開発する」ことを目的に研究を進める。 昨年度は世界で唯一マントルかんらん岩の大変形を伴うねじり実験が可能な、米国ミネソタ大学Kohlstedt研究室所有のパターソン型ガス圧式変形試験機で変形実験を行った。かんらん石と輝石の量比の異なるかんらん岩(輝石の体積分率=1, 15, 25, 35%)の試料を用いて、歪み100%以上の定常状態に達した変形組織と変形実験時に得られる応力、ひずみ、時間の関係を示す力学データを得ることに成功した。 本年度は、この変形実験試料について詳細な岩石組織解析を行うために、静岡大学機器分析センター所有のフィールドエミッション型電子顕微鏡と電子線後方散乱回折(EBSD)システム(FE-SEM, JXA-iHP200F; EBSD, Oxford-symmetry)を用いた分析方法の検討を行った。具体的にはサブミクロンスケール(~0.1ミクロンのステップサイズ)の微小領域における多結晶体試料の結晶方位を測定するために、(1)EBSDフォルダーの設計と改良、(2)分析時のキャリブレーション法の検討、(3)組織解析のためのマトラボ・プログラムの改良を行った。これらの検討により、微小領域の高解像度結晶方位マップを用いたかんらん石多結晶体における粒子スケールの転位の密度分布の解析が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに計画通り変形実験を行い、今年度は試料の分析方法の改良を行った。おおむね計画通り研究は進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
変形実験で得られた力学データと、微細構造解析の結果を合わせて、パラメータ抽出を行い先行研究の結果と比較する。
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Causes of Carryover |
2023年の7月から2024年の3月まで研究代表者の研究室のある建物の改修工事が行われ、仮設の研究室での作業を余儀なくされ、大きな実験機器を購入することができなかった。
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