2022 Fiscal Year Research-status Report
An oxygen isotope study of small chondrules: search for evidence of dust migration in the protoplanetary disk
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22K18741
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 尚敬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30335418)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 隕石 / コンドルール / 酸素同位体 / SIMS / 二次イオン質量分析計 |
Outline of Annual Research Achievements |
始原的隕石(コンドライト)にみられるコンドルールのうち、直径が100um未満の微小コンドルールの酸素同位体比分布を系統的に調べ、典型的な大きさのコンドルールの酸素同位体比分布との相違点を明らかにすることで、太陽系形成期の原始惑星系円盤内部での固体粒子の移動の様子を読み解くことを目指している。 令和4年度は研究対象となる隕石試料の検索を重点的に行った。国立極地研究所を訪問して南極隕石コレクション薄片試料の光学顕微鏡観察を行い、保存状態が良い始原的隕石試料の検索と微小コンドルールが存在している薄片試料の確認を行った。また、研究協力者と相談してNASAが所有する南極隕石コレクションの中で研究対象として有望な隕石試料について薄片試料の貸与の申請をした。 原始惑星系円盤内部での酸素同位体比の変動要因に特異な酸素同位体比組成を持つ水分子の濃集と移動が考えられる。こうした水分子の挙動を理解するために、始原的隕石試料のうち、隕石母天体内部での熱水活動によって形成された炭酸塩鉱物が見つかる試料について、炭酸塩鉱物の酸素と炭素同位体比分析を行い、隕石母天体形成領域に存在した水分子の同位体組成の特徴を調べた。研究の成果は新学術:星・惑星形成の研究会とNASA:Lunar and Planetary Science Conferenceにて発表した。 また、研究協力者と共に、原始惑星系円盤でコンドルールが形成される過程においてコンドルールが周囲に存在する水分子の同位体比情報を獲得する物理過程に関する考察を行った。研究の成果はNASA:Lunar and Planetary Science Conferenceにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は初年度であり、分析研究に使える隕石試料の探索が主な活動目標であった。研究協力者の助力もあり、国立極地研究所及びNASAが所有する南極隕石コレクションから母天体が形成した領域(太陽からの距離)が異なると推定される複数種類の始原的隕石試料を見つけることが出来た。 また、コンドルールの酸素同位体比を解釈するうえで重要な炭酸塩鉱物の酸素同位体比分析研究と、水分子とコンドルールとの同位体比交換メカニズムに関して物理的に考察した研究についても一定の成果を得ることが出来た。研究は概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は研究対象になる隕石試料を取得し、共同研究者と共に鉱物学的観察を行う。分析可能な微小コンドルールのリストを作成し、具体的な同位体比分析計画を策定する。年度の後半にはいくつかの隕石試料の微小コンドルールについて酸素同位体比分析を実施することを目指す。 炭酸塩分析研究についてはもう一種類の隕石試料の分析を行い、原始惑星系円盤内部に太陽からの距離に応じて系統的な酸素同位体比変動が存在したかどうかを検証する。同位体交換の物理過程研究についても研究協力者らとの共同研究を継続し、物理モデルと既存の隕石試料の酸素同位体比データを比較して原始惑星系円盤の物理化学状態に制約を与えることを目指す。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナウィルス感染拡大の余波で、海外での研究集会への現地参加を見送りオンラインでの参加と発表で対応したため、研究代表者、共同研究者共に予定していた出張旅費の支出が無かった。 オンラインでの参加は研究集会参加者との自由な議論が十分には行えないので、次年度は海外での研究集会にも積極的に現地参加することとする。また、次年度からは試料の観察と分析がはじまる予定であり、試料の加工と分析のための消耗品費として活用する。
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Research Products
(4 results)