2022 Fiscal Year Research-status Report
Hierarchical structure analysis of light metals by simultaneous scattering/spectroscopy measurements
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22K18886
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 浩司 京都大学, 工学研究科, 教授 (50214060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 恭介 京都大学, 工学研究科, 助教 (70717743)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | tender X-rays / Mg absorption edge / AlMgSi alloys / ASAXS / XAFS |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の前段階で実績として進めていたMg吸収端での異常小角散乱測定に関して、異常小角散乱測定の技術的な課題であった異なる吸収端間での強度の比較に必要な散乱強度絶対値化に関して手法および試料の観点からの目途が立ち、この結果については論文化した。また、実験上の課題であった検出器ノイズなどの不具合に関する対策のため、今年度検出器の一部を改造して信号が良好になっていることを確認した。一方、この改造は検出器の移動(放射光施設の間の運送)に対する耐性を低下させるため、これらに対する検出信号の劣化有無についても検討を継続している。これらの結果を踏まえ、年度後半にAlとMg、2つのK吸収端をまたいだASAXS測定を、本研究の研究対象として想定しているAl-Mg-Si合金のいくつかの典型的な熱処理試料について試行し、計測データについての検討をおこない、複数吸収端間での定量強度比較にかかわる課題の洗い出しを進めた。その結果、表面酸化膜による散乱寄与の除去に関してMg吸収端とAl吸収端ではそのX線波長に対する依存性が異なることなど、いくつかの特徴的な散乱プロファイルの違いが明らかとなり、測定条件の選定に対する基礎データが得られた。また、析出物からの散乱に対応する部分については析出物による典型的な散乱パターンが得られることが確認でき、今年度で散乱―分光同時測定実現での散乱に関連する課題はほぼ解決できたと結論される。この中で計測器の低ノイズ計測が今後も安定して実現できるか(改造部分に関する経年劣化の有無)についてはひきつづき慎重にモニターしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は開始時に同時測定のうち共鳴散乱測定に関して課題として残っていた部分についての解消のための散乱測定装置改良とそれによる測定信号の改善検証をまず行い、その後その結果を踏まえた複数吸収端での共鳴散乱強度測定をAl-Mg-Si合金のいくつかの熱処理試料に対して行い、得られたMgとAl吸収端での連続測定プロファイルを比較して同時測定におけるASAXS解析上の測定条件などの検証をおこなうことができた。一方、ビームタイムの関係で予定していた熱処理条件のうち測定できたのは3条件に限られたため、今回得られた計測条件選定を踏まえた測定の継続・補充が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
共鳴散乱部分については技術的にはR4年度でほぼ計画通りに進んだものの、材料として興味がある熱処理条件を一通りカバーする測定はビームタイムの不足でできていないため、R5年どに引き続きいくつかの熱処理条件での共鳴散乱データ取得は必要である。これに加え、R5年度にはSDDのSAXSチャンバーへの取り付けとキャリブレーション、標準データ取得など、蛍光XAFS取得を同じチャンバー内で行うための装置改造と動作検証を進める予定である。R5年度にはASAXSチャンバーでのXAFS測定の定量化に取り組むとともに、XAFS信号の検討を進める。
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Causes of Carryover |
予定していた放射光実験が運転費用の高騰による運転時間短縮などの事情により回数減となった。この分の旅費が予定外となり、減少した。一方この状況が判明した時期が遅く、額としても来年度実験準備を前倒しでチャンバー改造を進めるには十分な額でないため、次年度にまとめて実験準備を進めることとした。当初予定では今年度実績に記載したCCD改造が、申請書作成時の情報と比べてコロナ下での物価上昇と円安により、大幅に高コストになったため、一部散乱対応のチャンバー改造もR5年度にまとめて行ってコストを抑える事で科研費内での当初予定研究を完遂する予定である。
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Research Products
(5 results)