2023 Fiscal Year Research-status Report
自然摂動軌道による直観性と定量性を両立した化学反応解析法の構築と応用
Project/Area Number |
22K19010
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
波田 雅彦 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任教授 (20228480)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 自然摂動軌道 / NPO / NMR |
Outline of Annual Research Achievements |
電子状態計算法において、信頼性の高い定量的な計算値を得る事と同時に、その計算精度に応じた解析方法が提供されねばならない。本申請では、自然摂動軌道を利用して、直観性と定量性を両立した分子物性の解析方法、及び、化学反応解析法を構築し、その方法を種々の分子や反応系に応用する。自然摂動軌道は申請者が提案して名付けたものであり、その要点は外場に応答する波動関数の成分を抽出することにある。このため、外場(微小変化)を与える必要がある。純粋な「外場」である外部電場や磁場を使えば、分子分極率やNMR化学シフトなどの各種の解析に使える。更に、本提案では、(a)固有反応座標(IRC)の基準振動に沿っ た分子骨格の変化、(b)2つの反応物間の相互作用、なども外場として有効である。(b)の場合は、化学反応の特徴を少数の軌道のペアーで直感的かつ定量的に解 釈することを目論んでいる。 初年度は、NMR化学シフトの解析への応用を進めた。2年目は、電磁気物性とNMR化学シフトを関連させて解析する事を試みた。円偏光発光(CPL)とNMRの両者を発現させる遷移磁気モーメントに注目し、その相関について計算結果にもとずく考察を進めた。先ず、精度検証であるが、NMRの計算精度ついては充分に検討されているので、CPLに関しては、系統的な実験値との比較により、絶対値変化や符号変化がCAM-B3LYP/cc-pvTZレベルで充分に再現できることを確認した。現在、NMRとCPLを合体させた解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化学反応へのNPOの応用を進める必要があるが、CPLの解析を優先したので、前者については遅れが出た。
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Strategy for Future Research Activity |
電磁気物性とNMR化学シフトを関連させた解析を進める。 化学反応に関するNPOの応用について進める。
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Causes of Carryover |
既に採択されていた科研費(萌芽)がコロナの影響で再延長したので、本科研費と時期が重なってしまい、学会発表などを見送ったりして若干の遅れがでた。
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