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2022 Fiscal Year Research-status Report

Single molecule fluorescence measurement in the nanosecond time scale using the accelerated fluorescence emission rate exhibited by microdroplets

Research Project

Project/Area Number 22K19011
Research InstitutionOsaka Metropolitan University

Principal Investigator

迫田 憲治  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80346767)

Project Period (FY) 2022-06-30 – 2024-03-31
Keywords微小液滴
Outline of Annual Research Achievements

本研究では,我々が独自に開発した単一微小液滴捕捉・レーザー顕微分光装置を用いている.この装置では液滴を捕捉するためにイオントラップの一種であるエンドキャップトラップを用いている.微小液滴に溶存した分子の振る舞いを詳細に調べるには,液滴を長時間にわたり安定に空間捕捉する必要がある.しかしながら,液滴周囲の温度および湿度を管理していない状況では,液滴を構成する溶媒分子が徐々に蒸発していくため,液滴を空間捕捉する時間には限界がある.本研究を遂行するためには,長時間にわたる液滴の安定な捕捉を実現することが必須であることが判明したため,これを実現するための装置開発を行った.
液滴からの溶媒の蒸発を抑えるには,液滴周囲の温度を低く保つことが有効である.そこで液滴を捕捉するために用いているイオントラップを周囲を覆う冷却断熱チャンバーを開発した.この断熱チャンバーでは,銅で構成されている本体の隙間に恒温槽で温度制御された冷却媒質を流すことでチャンバー全体を冷却している.以前に報告されている同様のチャンバーと比べて,内部空間の体積を65 %縮小し,冷却可能面積を4倍以上に拡大している.その結果,チャンバー内部を最大で-10 ℃まで冷却することに成功している.この冷却断熱チャンバーをイオントラップに組み込み,実際に単一微小液滴を捕捉した際の液滴径の時間変化を評価したところ,チャンバー内温度が-8 ℃以下では、液滴からの溶媒の蒸発がほとんど無視できることがわかった.これにより,既存の装置と比べて著しく長い時間,単一微小液滴を安定に空間捕捉できることを実証した.また,この装置を開発したことで,液滴の直径を保ったままで,液滴に溶存した色素分子からの蛍光寿命測定が可能となった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究開始当初は,現有の冷却断熱チャンバーを用いれば,微小液滴に溶存した色素分子からの蛍光寿命を測定できると見込んでいた.実際に実験を行うと蛍光寿命自体は測定できるが,液滴径の経時変化が大きく,このままでは定量的な議論を行う上で支障があると判断し,新たな冷却断熱チャンバーの製作と性能評価に踏み切った.いくつかの技術的困難はあったが,比較的順調に新たなチャンバーを装置に組み込むことができている.また本研究で必要となる,微小液滴に溶存した色素分子からの蛍光寿命測定のための光学系の構築に関しても順調に進んでいる.

Strategy for Future Research Activity

これまでに単一微小液滴を長時間にわたり安定に空間捕捉することに成功し,色素分子からの蛍光寿命測定についても予備的な結果が得られている.今後は,空間捕捉した微小液滴の液滴径を変化させた際の色素分子からの蛍光寿命を系統的に調査する.これを行うことによって,液滴に溶存した色素分子の蛍光寿命が,液滴径にどのように依存するのか(蛍光寿命の増大に閾値のようなものは存在するのか)について考察する.また,液滴を用いて行った実験結果を,バルク溶液における色素分子の蛍光スペクトルおよび蛍光寿命と比較することによって,微小液滴を用いた際に実現が見込まれる蛍光計測の高感度化について原理検証および定量的な実験データの蓄積を行う.

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた主な理由は,実験に用いる消耗品についての使用額が当初の見積もりより若干少なかったことによる.来年度は複数の色素分子(試薬)をもちいて実験を行う必要があるため,試薬購入に使用する予定である.

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 微小液滴の顕微分光 -バルク溶液と微小液滴では何が異なるのか-2023

    • Author(s)
      迫田憲治
    • Organizer
      第1回学際化学若手育成シンポジウム
  • [Presentation] 断熱チャンバーを用いた微小液滴内における色素分子の蛍光寿命測定2022

    • Author(s)
      宮下凌,野口昌起,八ッ橋知幸,迫田憲治
    • Organizer
      第16回分子科学討論会
  • [Presentation] 微小液滴内における負電荷を帯びた色素分子の空間分布2022

    • Author(s)
      菅沼 柚月,亀井 航汰,佐野 元哉,八ツ橋 知幸,迫田 憲治
    • Organizer
      第16回分子科学討論会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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