2023 Fiscal Year Research-status Report
生体膜で創るロタキサン型タンパク質超分子構造と機能発現
Project/Area Number |
22K19060
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
出羽 毅久 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70335082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 政晴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20571219)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 光合成 / 超分子構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロタキサン構造をもつ膜タンパク質複合体を作成するために、紅色光合成細菌の光収穫系複合体2(LH2)をリング部位とし、そのリング内部に挿入する軸タンパ ク質を各種設計した。膜貫通部分は膜貫通型αヘリックス構造とし、ストッパーとなる親水性部位はマルトース結合タンパク(MBP)および蛍光タンパク質 (mCherry)とした。前年度の問題点として、発現した軸タンパク質の膜への挿入効率が低いことが明らかとなり、本年度は次の4つについて検討した。 (1) 軸のαヘリックスの変更:ペリプラズム側にN末端となるようにし、膜への挿入方向とタンパク質発現方向が同じにあるようにした。その結果、これまで逆方向であった軸部に比べ、光合成膜中への挿入量が増加した。 (2) 遺伝子配列の変更:これまでLH2βー軸ーLH2αの遺伝子(pucB-Axis-pucA)の順で遺伝子を作成していたが、軸の発現量を増やすために、Axis-pucB-pucAの配列に変更した。その結果、発現量に優位な変化は見られなかった。 (3) N末端配列の重要性の確認:軸タンパク質のN末端領域にpucBの配列を一部組み込んだものと、その配列が無いものについて検討した。その結果、pucBの配列を一部組み込んもののみ発現が確認できた事から、軸タンパク質のN末端領域にはLH2βのN末端アミノ酸数個が光合成細菌内での発現に重要である事がわかった。 (4) タンパク質間相互作用の導入:膜に挿入れた軸分子をLH2タンパク質が認識し相互作用する仕掛けを導入し、超分子構造形成を促す設計を行なった。ここではSpy-tag/SpyCatcherシステムを用い、軸タンパク質部分にSpyCatcher, LH2β部位にSpy-tagを導入した遺伝子の作成を行なっいる。(現在進行中)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的の超分子複合体の安定性が低く、単離精製時に分解してしまう事がわかった。このため、より安定な構造となる設計を導入し、遺伝子作成および光合成細菌内での発現を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
より安定な複合体をより収率よく光合成膜中で形成させるために、現在進めているSpy-tag/SpyCatcherシステムで研究を推進する。これまでに超分子複合体形成による吸収波長シフトや、単離生成のノウハウが蓄積できているので、より大量に安定な超分子複合体を単離精製する。単離精製できれば、クライオ電子顕微鏡での構造解析に着手し、超分子構造の明確な証拠を得る。
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Causes of Carryover |
今年度はコストがかかる単離精製実験よりも遺伝子作成と光合成細菌の変異体作成でより経費がかからない実験が多かったため。
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Research Products
(23 results)