2023 Fiscal Year Annual Research Report
超分子的相互作用を利用した環状高分子を効率的かつ簡便に合成する手法の開発
Project/Area Number |
22K19066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 裕一郎 大阪大学, 大学院理学研究科, 助教 (10739676)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 環状高分子 / 超分子 / ポリロタキサン / シクロデキストリン / ポリエチレングリコール / ロタキサン / 末端連結 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状高分子は、線状高分子とは異なる物性を持っていることから注目されており、環状高分子由来の材料がどのような物性を見せるのか注目されている。環状高分子を得る手法には、環状モノマーにモノマーを挿入していく方法と、線状高分子の末端を分子内で結合する方法がある。線状高分子末端を連結する方法では、濃度が重要である。なぜなら、高濃度では分子間結合が分子内結合より優先されるため、環状高分子は一般に低濃度で合成される。そのため、環状高分子を高濃度で合成することは困難であった。本研究では、疑似ポリロタキサン(pPRxs)という複数の環状分子の空洞部を線状高分子が貫通した構造の超分子構造を使用して、高濃度の線状高分子水溶液から環状高分子を取得する新しい方法論を示します。具体的にはγシクロデキストリンという環状分子が2本鎖のポリエチレングリコール(PEG)とpPRxを形成するという特性を活かし、pPRx形成後に、線状高分子末端を連結することによって環状高分子を得ました。このpPRxを用いた我々の方法では、従来の環状高子合成の濃度よりも80倍以上濃い濃度で環状高分子を合成することができました。更に、線状高分子の末端をリンカーではなく、直接、しかも効率的に2量化するシンナモイル基を用いることで、その収率を3倍以上向上することにも成功しました。それによりリンカーを用いて連結した際には、PEGの分子量は400程度でしたが、シンナモイル基を用いた際には最大で4000まで環状高分子を高濃度で合成することが出来た。
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