2023 Fiscal Year Annual Research Report
Super-resolution fluorescence lifetime imaging for analysis of mitochondrial membrane potentials at the cristae level
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22K19108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
多喜 正泰 名古屋大学, 物質科学国際研究センター(WPI), 特任准教授 (70378850)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | ミトコンドリア内膜 / クリステ構造 / 超解像イメージング / 蛍光寿命イメージング / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜形態をダイナミックに変化させながらアポトーシスの制御やカルシウム貯蔵など,多岐にわたる細胞機能を精密にコントロールしている.前年度は,第2世代のミトコンドリア内膜標識剤としてMitoPB Redを開発し,これが脂質組成の違いによって誘起される膜極性環境の違いを感受して,異なる蛍光寿命を与えることを見出した.実際,蛍光寿命顕微鏡 (FLIM) でミトコンドリアを観察したところ,単一のミトコンドリアにおける内膜組成の不均一性を可視化することに成功した.本成果を踏まえ,今年度はFLIMと超解像STEDイメージングを組み合わせることで,クリステレベルでの膜不均一性の解析に取り組んだ.しかし,クリステ形態はダイナミックに変化するため,FLIMとSTEDの画像を同時に取得することができなかった.そこで,ミトコンドリアの動きを抑制するため,細胞を光照射することでミトコンドリアを膨潤させた後に観察することにした.その結果,内膜と外膜が接触している領域 (IBM)は,クリステに比べて膜の流動性が乏しいことがわかった.一方,クリステが密に集まっている領域では,高い流動性が認められた.また,ミトコンドリア脱共役剤であるCCCPで細胞を処理し,膜電位を喪失させたところ,FLIMにおける大きな長寿命化,すなわち膜の流動性の著しい減少が認められた.膜電位が喪失することにより,マトリックスで活性酸素が発生し,膜の酸化に伴う脂質特性の再構成が進行したものと思われる.また,ATP合成阻害剤であるバフィロマイシンで処理した場合も類似の傾向が認められた.膜電位変化が脂質特性の変化を引き起こし,それによって内膜形態や機能異常が誘起されるものと考えられる.
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