2023 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分による血管機能スイッチングシステム構築への新展開
Project/Area Number |
22K19156
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
加治屋 勝子 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (00379942)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | マイクロドメイン / クラスター化 / 血管機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
血管は三層構造をしており、内腔(血液)側から、血管内皮細胞層、血管平滑筋細胞層、線維芽細胞層が主な構成細胞である。研究代表者は血管機能の破綻に細胞膜上マイクロドメインが関与していることを突き止めた。細胞膜上マイクロドメインは生体高分子が集まった微小領域で、カベオラや膜ラフト等の機能や構造上のまとまりを持つ特定の部位を指す。具体的なマイクロドメインの関与としては、健常時には小さなマイクロドメインが細胞膜全体に一様に存在していることが透過型電子顕微鏡で観察されるが、一酸化窒素の産生能が低下する内皮機能の破綻や、Ca2+濃度非依存性の持続的な血管収縮が起きる平滑筋機能の破綻が見られる時は、マイクロドメインがクラスター化して巨大化し、陥入構造が取り込まれる様子を透過型電子顕微鏡により観察した。 また、食品に含まれるを成分を対象として、スフィンゴ脂質との強い相互作用が認められた成分をスクリーニングし、いくつかの低分子化合物を見出した。これらの低分子化合物群をそれぞれ血管内皮細胞及び血管平滑筋細胞にプレインキュベートさせ、病的状態(内皮機能の破綻や平滑筋機能の破綻)を人工的に作り出すと、マイクロドメインのクラスター化が起こらなかった。このことから、スクリーニングで見出した食品成分が膜との複合体形成において特別な構造活性特性を持つのではないかと考え、分子シミュレーションを用いた三次元解析により構造的活性特性を調べた。
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