2023 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary engineering of sesquiterpene synthases from basidiomycetous fungi
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22K19212
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
一瀬 博文 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00432948)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | セスキテルペン合成酵素 / 担子菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「生物は不都合な酵素活性を封印しながら進化した」という独自の仮説に基づき、現存生物において活性を失った酵素の機能を復元することを目指した。具体的には、担子菌に由来するセスキテルペン合成酵素(STS)を例として、 (i) ゲノムから転写されない、(ii) 転写されても正しく翻訳されない、(iii) 翻訳されても酵素活性を示さないSTS群を遺伝子工学的に改変して酵素機能の人為的発現を目指した。 前年度には、担子菌Postia placentaおよびPhanerochaete chrysosporiumに由来する「ゲノムから転写されない休眠遺伝子」を標的とした酵素活性の復元を試み、P. chrysosporiumに由来する休眠型STSの酵素活性を見出した。本年度は、Trametes versicolorおよびResinicium bicolorに見出される休眠遺伝子を対象として酵素活性を追跡し、複数のSTSを機能発現させることに成功した。得られた生成物には、新規セスキテルペノイドと考えられる化合物も見出された。 さらに、酵母細胞内で活性を示さないSTSを対象として、各種キメラ型配列を作出して酵素活性の復元を試みた。STSに見られる保存性配列を継ぎ目として配列置換を施し、42種類のキメラ型酵素を得て活性を追跡した。一連の検討では、野生型配列では活性を示さないP. placenta由来STSのキメラ体において新規セスキテルペノイドの合成活性を見出した。 本研究で得られた新規化合物に様々な生物活性が潜むことも考えられ、その探求にも興味が持たれる。また、本研究を通じてSTSのN末端領域の改変が酵素活性の改変・向上に有効であることが示唆され、セスキテルペノイドの高生産に向けた有益な知見が得られた。
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Research Products
(8 results)